オフィスの床下配線を隠す3つの方法|費用と選び方を解説

オフィスの床下配線を隠す3つの方法|費用と選び方を解説

オフィスの床を横切る配線を整理するには、配線量と経路、将来の変更予定を確認し、床構造や賃貸の制約に合う方法を選びます。

少数の配線を覆うモール、床下に空間を作るOAフロア、端子を取り出すフロアコンセントでは、必要な工事と費用が異なります。

材料単価だけで選ぶと、施工費や床上げによるドアの干渉を見落としかねません。本記事では、3つの方法の選び方とOAフロアの構造、見積もり・着工前の確認点を解説します。

オフィスの床配線を隠す3つの方法

オフィスの床配線対策は、床上のコードを単に覆うだけでなく、歩行動線や什器配置に合わせて適切な手段を選ぶ必要があります。経路の長さや配線量によって、選ぶべき部材や工事の規模は変わってきます。

まずは代表的な3つの方法について、それぞれの仕組みと適した環境を確認しましょう。

1. 配線モールによる床上保護

配線モールは、床面に粘着テープなどで樹脂製のカバーを取り付け、限られた経路のケーブルを床上で覆って保護する部材です。大掛かりな床工事を伴わず、少数の配線を局所的に整理したい場面に向いています。

収容できる量はモールの内寸とケーブル外径で決まります。サンワサプライの床用ケーブルカバーCA-R50では、内寸幅21mm・高さ8mmに対し、直径5〜6mmのLANケーブルで3〜4本が収容の目安です。

電源コードなど太い線が混ざる場合は内寸に余裕のある製品を選びましょう。

設置時は床材に応じた固定部材と退去時の撤去条件を確認します。粘着テープで固定する場合、下地の材質によっては剥がす際に表面を傷める恐れがあります。また床上に部材が突出するため、台車やキャスター付き椅子の通行による破損や引っ掛かりに注意しましょう。

2. OAフロアによる床下収納

OAフロアは、既存床の上にパネルを設置して床下空間を作り、配線をまるごと収める仕組みです。壁際から離れたワークステーションまで大量のケーブルを配線する場合でも、床上にコードを露出させずに引き回せます。

床上を横断する配線を解消できるため、執務室全体の動線をすっきりと維持できます。配線の変更時も、対象箇所の配線溝カバーやパネルを開閉することで経路へアクセス可能です。床上にモールを張り巡らせる場合と比べて、レイアウトの自由度を高めやすい環境が整います。

ただし、床下に配線を収めても機器への立ち上がり配線は残ります。大型什器を配置した後は直下のパネルを簡単に開けられなくなるため、将来の増設を見据えて取り出し位置や点検口を家具配置とすり合わせておきましょう。

3. フロアコンセントによる電源取り出し

フロアコンセントは、床面に器具を設置して電源やLAN端子を取り出す仕組みです。パナソニックの床用コンセントのように、コンクリート埋込用とOAフロア用があります。

島型レイアウトでは壁からの長距離配線が不要になり、足元の露出経路を最小限に抑えられます。

OAフロアと併用すれば、床下に幹線を通しつつデスク直下など邪魔にならない位置へピンポイントに取り出し口を配置可能です。コンセントの開口加工や補強の要否はパネルの仕様によって異なるため、床材の施工要領に合わせて部材を選定します。

床面から取り出した配線は、机の上まで連続した経路として整えましょう。SITURAEMONの配線孔オプションでは、対象天板にスリット加工を施し、コードをすっきりと立ち上げられます。

さらに天板裏のスペース条件を満たせば、木ネジ固定のコンセントパーツを組み合わせることで、床の出口から机の上まで乱れのない配線環境を構築できます。

OAフロアの置敷式と支柱調整式の違いと選び方

OAフロアの置敷式と支柱調整式の違いと選び方の図解

床下に配線空間を設けるOAフロアには、置敷式と支柱調整式の2つの工法があります。構造や下地の条件が大きく異なるため、オフィスの用途に応じた選定が不可欠です。

各方式の構造的な特徴を把握したうえで、自社に適した判断基準を整理していきましょう。

置敷式の特徴と施工条件

置敷式は、既存床の上にパネルを直接敷き並べる構造です。支柱で高さを調整しないため、既存床の平坦さが仕上がりに影響します。

部材構成の例として、フクビ化学工業のピットTN-50では再生ポリプロピレン樹脂ベースと鋼板製配線溝カバーが組み合わされています。

ケーブルはパネルの溝内に収容するため、配線容量は溝の寸法に左右されます。

下地に直置きする構造上、既存床の凹凸をそのまま拾いやすい点には注意が必要です。床面に不陸がある場合はモルタル補修などで平坦にしておかなければ、がたつきの原因になります。また端部やスロープ部ではビス留めによる固定が求められる製品もあるため、施工要領の確認が欠かせません。

支柱調整式の特徴と施工条件

支柱調整式は、床面に固定した支柱の上にパネルを載せ、支柱の高さを調整して水平な床面を作る構造です。下地に傾斜や不陸があっても、支柱の調整範囲内であれば平坦な床を構築できます。

構成例としては、フクビ化学工業のFPシリーズのように、鋼製や樹脂製の支柱とウッドコアスチールパネルを組み合わせる仕様があります。パネル下の空間全体を使えるため、幹線ケーブルの引き回しや交差配線がしやすい点が特徴です。

ただし、支柱調整式はパネル厚や調整代、仕上げ材が加わるため、置敷式より完成床高が高くなりやすい傾向があります。また支柱で吸収できる凹凸は製品の調整可能範囲に限られるため、極端な不陸がある場合は下地調整が別途必要になります。

配線量や設置環境による選定基準

2つの方式は、人数や面積だけで判断せず、配線量・荷重・下地状態から総合的に選びましょう。

比較項目 置敷式 支柱調整式
配線空間 パネル内の配線溝 パネル下の空間全体
下地不陸への対応 下地状態に追従(事前補正が必要) 支柱の高さ調整範囲内で吸収
床高の上昇幅 比較的低く抑えやすい 空間確保により高くなりやすい
端部・見切りの固定 接着やビス留めが必要な箇所あり 支柱および見切りの固定が必要

方式名だけで耐荷重を一律に決めることはできません。

フクビ化学工業のOAフロアカタログによると、置敷式のピットTN-50と支柱式のFP3000はいずれも静荷重試験で3000Nの性能表示を持っています。

3000Nは静荷重試験の表示であり、床全体に置ける重量を意味しません。荷重点や許容たわみなどの試験条件を揃え、什器の脚にかかる荷重と照合してください。

将来の増設予定が多く下地に不陸があるなら支柱調整式、配線経路が定型で天井高を維持したいなら置敷式が有力な候補になります。

OAフロア工事の費用内訳と工期の目安

OAフロアの導入では、工事総額と業務停止を伴う工期の見通しが重要な検討材料になります。しかし、単価の数字だけを比較しても、現場条件によって実際の費用や日数は大きく変動します。

適正な予算策定と日程計画のために、見積もりの見方と手順を把握しましょう。

見積もり条件と単位を統一した費用比較

見積もりを比較する際は、施工範囲、仕様、計算単位を業者間で統一することが重要です。前提が異なると、一見安価に見える見積もりが結果として割高になる場合があります。

たとえばオフィスコムのOAフロア案内のように、表示金額が材料費のみか工事費込みか注記が分かれることがあります。また、面積単位として平米(㎡)と坪が混在していると単純比較ができません。

見積もりを依頼する際は、施工エリアを記した図面を共有し、面積を「平米(㎡)」で統一してもらいましょう。税込表示の有無や搬入費・諸経費が含まれているかまで横並びで精査することが肝心です。

総費用を左右する工事項目と別途費用

工事総額は、パネル部材代だけでなく仕上げや現場環境に伴う付帯費用で変動します。

工事項目 主な作業内容 見積もり時の確認点
OAフロア本体 パネル・支持脚・スロープ等の部材と敷設施工 施工費が含まれているか
仕上げ工事 タイルカーペット等の調達と敷設施工 床材グレードや耐摩耗仕様の指定
下地補正 モルタル補修、段差解消や不陸調整 調査後の追加費用の有無
電気・通信工事 固定配線の敷設、コンセント増設 有資格者が担当するか、別発注か
附帯作業 什器の移動・養生、廃材処分、夜間休日割増 荷物移動を社内で行うか委託するか

什器の移動・養生や電気・通信工事は、床工事の見積もりに含まれるか、別発注が必要かを確認します。担当業者と作業範囲を契約前に揃えましょう。

施工手順と業務影響を踏まえた工期計画

工期スケジュールは、現場施工の日数だけでなく現地調査から資材調達、復旧までの全体リードタイムで計画します。

一般的な手順は、現地調査による床下地の確認から始まります。仕様確定後に部材を手配し、納品後に着工します。稼働中のオフィスでは、什器の搬出・養生、既存床の清掃、パネル敷設、配線作業、カーペット敷設、什器復帰と配線接続の順に進みます。

業務影響を抑えるには休業日を利用した施工が有効です。ただし金曜日の退勤後にどこまで私物を片付けるか、月曜日の始業前に通信・電源の疎通確認を誰が行うかなど、社内運用を事前に決めておく必要があります。情報システム部門や総務部門と連携し、業務再開までの工程を点検しましょう。

OAフロア導入前に確認したい3つの注意点

OAフロアの仕様や予算が固まっても、着工前には建物管理の規則や安全面に関わる確認が不可欠です。確認を怠ると、工事の中断や追加の調整が生じる場合があります。

着手前に押さえるべき3つの注意点について、実務的な確認手順を把握しておきましょう。

1. 賃貸契約における工事制約

賃貸ビルにOAフロアを導入する際は、管理会社やオーナーへ事前に工事申請を行い、施工内容の承諾を得る必要があります。

最優先で確認すべきは、スラブ面へのアンカーボルト打ちや接着剤の使用可否です。置敷式であっても端部見切りやスロープにビス固定が必要な製品があり、床面加工が禁じられた物件では工法の見直しが必要になります。ビル指定業者の利用が義務付けられているケースもあります。

退去時の原状回復範囲も明確にしておきましょう。撤去時の補修費用を事前に取り交わすことで将来のトラブルを防げます。もし承諾が得られない場合は、配線モールによる局所保護への切り替えを検討しましょう。

2. 床高の上昇に伴うドア干渉と段差

2. 床高の上昇に伴うドア干渉と段差の図解

OAフロアを敷設すると、パネルと支持脚、さらに仕上げ材の厚みが加わり、室内の床面が上昇します。この床高の変化による影響を、図面と現地の双方で実測確認しなければなりません。

特に注意すべきは開き戸の開閉軌跡です。ドア下端と既存床との隙間が仕上げ後の完成床高より小さいと、ドアが床に接触して開閉できなくなります。現地調査では、ドアを閉めた位置だけでなく開閉する全範囲で隙間寸法を計測しましょう。

また、敷設エリアと廊下との境目には段差が生じます。転倒や台車の通行障害を防ぐため、緩やかな傾斜のスロープ部材を適切に配置します。スロープ設置時は、扉の開閉軌跡と干渉しないか、十分な通路幅が確保できるかを確かめておきましょう。

3. 専門資格が必要な電気工事の境界

配線整理には、自社で対応できる軽微な作業と、法令に基づき資格者が行うべき工事の境界があります。

電気工事士法および施行規則では、固定配線の接続やコンセント増設などは電気工事士の資格者でなければ従事できないと定められています。

ビルの設備区分によっては認定電気工事従事者等の資格が求められます。

作業区分 具体的な作業内容 資格の要否
自社で対応可能な作業 既存プラグのコンセント抜き差し、機器間のLANケーブル結束 資格不要
内装業者が担当する作業 配線モールの固定、OAフロアパネルやスロープの敷設 資格不要(施工要領遵守)
有資格業者が担当する作業 固定配線の敷設、床・壁コンセント新設、分電盤工事 設備区分に応じた資格が必須

既存タップの抜き差しやLANコードの整理は資格不要です。一方、床下に幹線を引き込んでコンセントを増設する作業は電気工事に該当します。内装業者へ依頼する際も、電気工事に有資格者が配置されているか確認してください。

オフィスの床配線対策とOAフロア選びまとめ

床配線を隠す方法には、配線モール、OAフロア、フロアコンセントがあります。配線量と動線に合う方法を組み合わせ、足元に露出するコードを抑えましょう。

OAフロアは配線容量・荷重・下地状態から製品を選び、施工範囲を揃えて見積もりを比較します。賃貸の工事制約、ドアの開閉範囲、電気工事の資格も確認が必要です。

まずは平面図に取り出し位置と家具・通路、増設予定を書き込み、建物の制約とともに施工業者へ提示して現地調査を依頼しましょう。