オフィス床材の種類と選び方は?費用相場・原状回復まで解説

オフィス床材の種類と選び方は?費用相場・原状回復まで解説

オフィスの床材は、大きく「タイルカーペット」「フロアタイル(ビニル系)」「天然素材(フローリング・石材)」の3タイプに分かれます。それぞれ吸音性・耐久性・意匠性という異なる強みを持つため、1種類で統一するのではなく、エリアの用途・運用負荷・原状回復の条件で使い分けるのが、導入後の不満と無駄なコストを避ける近道です。

床はオフィス内で最も面積の大きい内装要素であり、色や素材を変えるだけで空間の印象が一変するうえ、吸音性・清掃性・原状回復のしやすさといった実務面にも直結します。

とはいえ種類が多く費用相場もわかりにくいため、本記事では主要な床材の種類と特徴、エリア別の選び方、費用の目安、張り替え時の注意点までを整理し、自社の条件に合った床材を選定して発注判断を下せる状態になることを目標に解説します。

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オフィスの床材にはどんな種類がある? 主要3タイプの特徴と向くエリア

オフィスの床材選びを考えるとき、まず床構造を確認してください。現代のオフィスビルでは、電源やLANの配線を収める二重床(OAフロア)が標準的に採用されており、床材はその上に敷きます。OAフロアが敷いてあるか、その上に何を仕上げるかで選べる素材や施工方法が変わるため、床材選定の前提条件になります。

その上に敷く床材は、大きく3タイプに分かれます。繊維素材で吸音性に優れた「タイルカーペット」、塩化ビニル樹脂を主原料に耐久・清掃性を備えた「フロアタイル(ビニル系)」、そして質感と高級感が魅力の「天然素材(フローリング・石材)」です。それぞれ強みが異なるため、以下で1タイプずつ特徴と向くエリアを見ていきます。

1. タイルカーペット(吸音性と部分交換が強み)

タイルカーペットは、繊維素材を40〜50cm角のタイル状に加工した床材です。最大の強みは吸音性と防塵効果にあります。カーペットでのハウスダスト舞い上がり量はフローリングの10分の1で、フローリングの約5万個/立方メートルに対しカーペットは約5千個/立方メートル(床上140cmの場合)にとどまるため、空気環境の改善にも寄与します(出典:信州大学繊維学部・大阪府立産業技術総合研究所・日本カーペット工業組合「床材とハウスダスト舞い上がり量の関連(共同研究プレスリリース)」2015年)。

OAフロアとの相性も優れています。タイル状のため1枚ずつ取り外せて、下のOAフロアの配線に手を入れられます。汚れやすり切れが生じても、その部分だけを新しいタイルに交換できるので、全面張り替えを避けられて運用効率が高まります。

歩行音や椅子の移動音を吸収しやすいことから、集中やコミュニケーションを重視する執務室・会議室で広く使われています。色柄のバリエーションが豊富で、床の色を貼り分ければパーティションなしでエリアを区分するゾーニングにも活用できます。

2. フロアタイル(耐久・清掃性が高くデザインも豊富)

フロアタイルは、塩化ビニル樹脂を主原料とした硬質タイプの床材です。木目調や石目調などリアルな質感を再現したデザインが多く、天然のフローリングや石材よりも低コストで意匠性を確保できます。

表面が硬く水や汚れに強いため、日常清掃がしやすいのも特徴です。人の出入りが多く汚れやすいエントランスや通路、飲食スペース、水回りといったエリアに適しています。土足での摩耗にも耐えるので、劣化を気にせず長く使えます。

一方で、接着剤による施工が一般的なため、レイアウト変更や退去時の撤去には手間と費用がかかりやすい点が、置き敷きできるタイルカーペットとの大きな違いです(原状回復への影響は後の章で詳しく扱います)。

3. 天然素材(フローリング・石材)は限定エリア向き

フローリングや大理石といった天然素材は、素材本来の質感や経年変化を楽しめる点が魅力です。木の温かみや石の重厚感は、空間に高級感を与えます。ただし施工工程が多く初期コストが高いため、執務エリア全面での採用は多くありません。

天然素材は下地の状態に仕上がりが左右されやすく、OAフロアとの組み合わせにも制約があります。そのため、企業ブランドや来客への印象を重視するエントランス・応接室、あるいは小上がりスペースなど、効果の高い限定エリアで使うのが一般的です。導入するなら、自社ビルや長期利用を前提とするオフィスで検討してください。

オフィスの床材はどう選ぶ? 失敗しない4つの判断軸

床材選びで失敗しないためには、見た目の好みだけで決めないことです。判断すべき軸は、エリアの用途、色・デザインによる空間設計、メンテナンス性と運用コスト、そして原状回復と将来の変更可能性の4つに整理できます。この4軸で総合的に見ることで、導入後のミスマッチを防げます。

以下で1つずつ具体的に掘り下げます。

1. エリアの用途で素材を使い分ける

床材は、オフィス内のエリアごとに求められる機能が異なります。執務室・会議室では吸音性の高いタイルカーペット、人の出入りが多いエントランス・通路では耐久性・清掃性に優れたフロアタイルや石材が定番です。休憩・飲食スペースは飲食物の汚れに強いビニル系床材が適し、応接室は来客印象を重視して意匠性の高い素材を検討します。

エリア

推奨床材

選定理由

執務室

タイルカーペット

歩行音や椅子の音を吸収し、集中しやすい環境をつくれます

エントランス・通路

フロアタイル・石材

土足の摩耗や汚れに強く、来客への印象も高められます

会議室・応接室

タイルカーペット・天然素材

静粛性を確保し、応接室は意匠性で印象を演出できます

休憩・飲食スペース

フロアタイル(ビニル系)

飲みこぼしや食べこぼしの汚れを水拭きで落とせます

用途に合わない床材を選ぶと、後から不満が出ます。通路にカーペットを敷けば汚れや摩耗が早く進み、執務室に硬いフロアタイルを敷けば足音や椅子の音が響きます。エリアの性格に素材を合わせることが、無駄な張り替えを避ける第一歩です。

2. 色・デザインで空間印象とゾーニングを設計する

床の色は、空間全体の印象を大きく左右します。明るい色は開放感を、暗い色は落ち着きを演出し、ベージュやグリーンなどのアースカラーはリラックス効果をもたらします。天井や壁より面積が大きい分、床の色選びが空間の雰囲気を決めると考えてください。

さらに、床材や色を貼り分けることで、パーティションを設けなくても執務・会議・休憩スペースを視覚的に区分できます。通路部分だけ色や素材を切り替えれば動線が直感的に伝わり、来客案内や日常の移動もスムーズになります。フリーアドレスやABW(働く場所を選べる働き方)を取り入れるオフィスでは、固定的な仕切りを減らしたい分、こうした床のゾーニング需要が高まっています。

3. メンテナンス性と長期の運用コストを見極める

床材は敷いて終わりではなく、使い続けるあいだの手間とコストも判断材料になります。タイルカーペットは汚損した部分だけを1枚単位で交換できるため、全面張り替えに比べてメンテナンスコストを大きく抑えられます。フロアタイルはワックスがけ不要の製品が増えており、水拭きで日常清掃が完結するので、飲食スペースでも運用負荷が低く済みます。

ここで見落としたくないのが、初期費用の安さだけで選ぶと後で高くつく場合があることです。人通りの多いエリアに耐久性の低い床材を敷けば、劣化が早く進み、張り替え頻度が上がってトータルコストがかさみます。初期費用と維持費を合わせた長期の視点で見極めてください。

4. 原状回復と将来の変更可能性を見据える

賃貸オフィスでは、退去時に借りた状態へ戻す原状回復義務があります。ここを見落とすと退去コストが跳ね上がります。接着剤で固定するフロアタイルは撤去に手間がかかり、費用が膨らみやすいためです。

一方、タイルカーペットは置き敷きか、はがしやすいピールアップボンドで施工するのが一般的です。1枚ずつ取り外せて糊残りも少ないので、退去時の復元が容易で、原状回復コストを抑えやすくなります。賃貸で将来のレイアウト変更や退去を見据えるなら、撤去のしやすさも選定基準に入れてください。

原状回復費用は、交渉の余地がある点も知っておくと役立ちます。指定業者から最初に提示される坪単価は、規模を問わず中央値で約10万〜12万円と高めに出やすい傾向があります(出典:一般社団法人RCAA協会「オフィス原状回復費の坪単価はいくら?相場・費用内訳と高額請求を防ぐポイント」2026年)。

適正な査定を行えば坪5.8〜7万円程度まで下がるケースもあるため、初回見積りをそのまま受け入れず内容を精査してください。判断の参考として、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」も押さえておくとよいでしょう(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」2011年)。主に住居向けの指針ですが、事業用賃貸でも当事者間に排除の合意がなければ参照されます。

オフィスの床工事にかかる費用はいくら? 床材別の相場と変動要因

床材が決まったら、次に気になるのが費用です。オフィスの床工事費用は、床材の種類とOAフロアの有無で大きく変わり、㎡あたりおおむね2,000〜6,000円のレンジで動きます。自社の条件に合った概算を先に把握してから、業者の見積もり比較に臨んでください。

まず床材別・OAフロア別の相場を確認し、その後で費用が変動する要因を見ていきます。

タイルカーペット・フロアタイル・OAフロアの費用目安

主要な床材とOAフロアの施工単価の目安は、次のとおりです。

種類

費用相場(㎡あたり)

施工期間の目安

タイルカーペット張り替え

約2,350〜3,800円(既存カーペット処分費込み)

数日程度

フロアタイル

要確認(公式参照)

数日程度

OAフロア(置敷式)

2,500〜3,000円

1週間以上

OAフロア(床高調整式)

5,000〜6,000円

2週間以上

タイルカーペットの張り替えは、既存カーペットの処分費を含めて約2,350〜3,800円/㎡が相場です(出典:内装広場「オフィスに最適なタイルカーペットの種類と張り替え単価を解説」2025年)。OAフロアを新設する場合は、この床材の施工費とは別にOAフロアの費用が上乗せされます。置敷タイプは2,500〜3,000円/㎡で施工期間は1週間以上、床高調整式はその約2倍の5,000〜6,000円/㎡で施工期間も2週間以上を見込んでください(出典:

プラス株式会社ファニチャーカンパニー「OAフロアの施工にかかる期間と費用は?工事の内容や流れ、注意点を解説」2024年)。OAフロアから新設するなら、二重床と仕上げ材の合計で予算を組む必要があります。

費用が変動する3つのポイント

同じ床材でも見積もりに幅が出るのは、現場の条件が違うためです。費用を左右する主な要因は次の3つです。

  • OAフロアの有無:新設が必要なら床材費に㎡2,500〜6,000円が加算され、置敷式か床高調整式かでも差が出ます。
  • 既存床の撤去・下地補修:古い床材の撤去や、下地のひび割れ・不陸(凹凸)の補修が必要な場合、追加費用と工期延長が発生します。
  • 施工面積:面積が大きいほど㎡単価は下がりやすい一方、総額は膨らみます。

見積もりが「一式」表記で内訳が見えないと、妥当性を判断できず稟議も通しにくくなります。上の3条件を事前に把握したうえで内訳を出してもらえば、業者からより正確で比較しやすい見積もりを引き出せます。

オフィスの床を張り替えるときの3つの注意点

費用の目安が固まったら、施工前の確認に移ります。床の張り替え工事でのトラブルの多くは、着工前の確認不足に起因します。OAフロアと下地の状態、工期と業務への影響、そして異なる床材の段差。

この3点を事前に押さえておけば、工事の手戻りと業務への支障を最小限に抑えられます。順に確認していきます。

1. OAフロアと下地の状態を事前に確認する

まず、OAフロアが設置されているかを確認してください。築年数の古いビルでは、OAフロアが未設置のケースがあります。設置状況を把握しないまま計画を進めると、着工後に想定外の工事が必要になり、費用も工期も膨らみます。

OAフロアが未設置の場合、配線量が少なければ床上に配線モールを這わせて代替できます。ただしPCや電話が多く配線量の多い環境では、二重床の後付けを検討してください。配線が床上で交錯すると、つまずきや断線のリスクが高まるためです。

後付けで注意したいのは、床面が数cm上昇する点です。天井高が圧迫されないか、ドアの開閉に支障が出ないかを事前に確認しておいてください。

2. 工期と業務への影響を最小限に抑える

床の張り替えは、業務を止めずに進める段取りが鍵になります。オフィス全体を一度に施工すると業務が完全に止まるため、施工範囲を区切って段階的に進めるエリア分割施工を使えば、稼働しながら改修を進められます。繁忙期を避けて休日や夜間に施工すれば、業務への支障をさらに抑えられます。

あわせて、什器の移動計画も欠かせません。デスクやキャビネットをどの順序でどこへ動かすかを事前に決め、仮設通路を確保しておいてください。施工日程は社員へ早めに周知し、什器移動と業務継続を両立できるよう段取りを組むことで、当日の混乱を防げます。

3. 異なる床材の段差を解消する

エリアごとに床材を使い分けると、素材の厚みの違いから境目に段差が生じます。タイルカーペットとフロアタイルを隣接させると数mmの段差ができ、つまずきや台車・キャスターの引っかかり、見た目の不揃いといった問題につながります。

対処法は2つあります。境目にステンレスなどの見切り材を取り付けて段差をなだらかにつなぐ方法と、薄い方の床材の裏面に嵩増し材(厚み調整材)を貼って高さをそろえる方法です。異なる床材を組み合わせる計画なら、段差対策を設計段階から見込んでおいてください。

まとめ

オフィスの床材は、見た目の好みではなく、エリアの用途・運用負荷・原状回復条件の3軸で使い分けることで、導入後の不満と無駄なコストを防げます。執務室には吸音性の高いタイルカーペット、人の出入りが多い通路には耐久・清掃性に優れたフロアタイル、印象を重視するエントランスには天然素材、というようにエリアの性格に素材を合わせることが選定の基本です。

選択肢が多くて基準が定まらないときも、この3軸に費用と将来の変更可能性を加えて考えれば判断は絞れます。相場の目安を押さえておけば、見積もりの妥当性も判断でき、稟議も通しやすくなります。次のステップとして、床構造や下地の状態を把握したうえで専門業者に相談し、現場調査と複数社の見積もり比較に進んでください。

参考として、本文で確定した費用相場を再掲します。

種類

費用相場(㎡あたり)

施工期間の目安

タイルカーペット張り替え

約2,350〜3,800円

数日程度

OAフロア(置敷式)

2,500〜3,000円

1週間以上

OAフロア(床高調整式)

5,000〜6,000円

2週間以上

床材を刷新すると、既存の家具が空間の雰囲気に合わなくなり、家具も合わせて見直したくなることがあります。そこで課題になりやすいのが家具の納期で、特注家具の製作待ちが工期全体のボトルネックになりがちです。SITURAEMONなら、7,000通り以上のカスタマイズが可能なモジュール設計の造作家具を最短5営業日で届けられるため、床のリニューアルに合わせて空間に馴染む家具を短期間でそろえ、新しいオフィスをスムーズに立ち上げられます。