オフィス床材の種類と選び方は?費用相場・原状回復まで解説

オフィス床材の種類と選び方は?費用相場・原状回復まで解説

オフィスの床材は、エリアの用途、清掃体制、床構造と配線の点検、賃貸契約の原状回復条件から選びます。費用は材料単価と、施工・撤去・下地補修を含む総額を分けて比較しましょう。

見た目と材料価格だけで決めると、清掃の負担や施工時の追加作業を見落とす場合があります。ドアとの干渉、什器の移動、業務を行う場所も着工前に確認します。

本記事では、オフィスで使われる主な床材の特徴やエリア別の判断基準、材料価格の目安と見積内訳、着工前に確認すべき注意点を実務目線で解説します。

オフィスで使われる床材の主な3つの種類

表面の仕上げ材と床下構造は役割が異なります。OAフロアは配線を床下へ収める二重床構造であり、その上の仕上げ材と分けて確認しましょう。

既存のOAフロアを使う場合は、点検のために取り外せる仕上げ材と指定接着剤を選びます。床材の厚み、下地への適合、境界の納まりも照合します。

オフィスで主に使用される仕上げ材は、大きく分けてタイルカーペット、フロアタイル、木質フローリングや石材の3種類です。

1. タイルカーペット

タイルカーペットは、繊維のパイルを持つタイル状の床材です。

表面に繊維のパイルを持つため、硬質な床材に比べて室内の反響音を抑えやすい特徴があります(サンゲツ)。靴音や椅子のキャスター移動音が響きにくく、落ち着いた執務環境を整えたい場所の有力な候補になります。また、汚れた部分だけを取り外して交換できる点も実務上の利点です。

飲み物をこぼして通常の清掃で落ちない汚れが残った場合でも、予備の材料があれば該当する区画のみを張り替えられます。

導入する際は、OAフロアの下地形状や接地面積に適した指定接着剤を確認し、施工後も容易に取り外せる状態を確保しましょう。後日の部分交換をスムーズに行うため、施工時に同一ロットの予備材を手元に保管しておく運用が必要です。

2. フロアタイル

フロアタイルは、塩化ビニル樹脂などを主原料とするビニル系の床材です。

木目調や石目調などリアルな意匠を再現した製品が多く、水や汚れが表面に染み込みにくいため日常的な水拭き清掃を行いやすい利点があります。飲食を伴うリフレッシュエリアや、外からの土砂を持ち込みやすいエントランス周辺などで清潔感を維持しやすい素材です。

接着剤で下地に固定する工法のほかに、OAフロア上に置敷きできるピールアップ工法対応の製品も存在します(東リ)。

ただし、表面の水拭きが容易であることと床全体の防水性は異なります。タイルの目地から水や洗剤が裏面の下地に侵入すると、接着剤の劣化や浮きを引き起こす恐れがあります(サンゲツ)。

採用にあたってはカタログの用途区分を確認し、固く絞ったモップで拭き取るなど製品仕様に指定された維持管理方法を守りましょう。

3. 木質フローリング・石材

木質フローリングや石材は、素材の風合いを活かしたい場所で検討します。

応接室やエントランスの一部に採用する場合も、土足利用と床構造への適合を確認します。DAIKENのオフコレフロアのように、OAフロア向けの土足対応天然木床材もあります。部分的に取り外せる設計ですが、再施工の手順も商品仕様で照合しましょう。

ただし、木質床材は水分が隙間に残ると反りや変色が生じる場合があり(DAIKEN)、石材も種類によって吸水性や表面保護の手入れ条件が分かれます。

意匠の魅力だけで即決せず、土足利用に耐える表面硬度や保護塗装の有無、配線点検口の確保手順をメーカーの仕様書で照合しましょう。日常の清掃体制で無理なく質感を維持できるかを施工業者と確認したうえで、導入範囲を判断することが大切です。

オフィス床材を選ぶ4つの判断基準

床材の特徴を、エリアの用途、色柄、清掃・補修、賃貸条件の4点から自社へ当てはめます。

1. エリアごとの用途や求める機能に合っているか

同じオフィスでも、執務席と飲食する場所では重視する性能が異なります。

執務室・会議室では反響音とキャスターの動かしやすさ、飲食する場所では汚れの拭き取りやすさを確認します。エントランスでは土砂や雨水の持ち込みと、濡れたときの滑りにくさも照合しましょう。

エリア 主に求められる機能 適した床材の候補 選定時の確認ポイント
執務室・会議室 反響音の抑制、キャスター走行性 タイルカーペット 椅子を動かしやすいパイル形状か、OA点検口を開閉できるか
エントランス・メイン通路 耐摩耗性、土砂や雨水の拭き取りやすさ フロアタイル、石材 土足歩行への適合仕様か、濡れた際の滑りやすさに対策があるか
応接室・役員エリア 上質な素材感、落ち着いた雰囲気 木質フローリング、石材、高級カーペット 土足対応の表面加工があるか、日常の清掃体制で手入れが可能か
休憩・飲食スペース 飲みこぼしの拭き取りやすさ、防汚性 フロアタイル(ビニル系) 目地からの浸水を防げるか、中性洗剤での拭き掃除に対応するか

表の区分は一律の固定ルールではなく、実際の運用形態に合わせて柔軟に判断します。例えば通路であっても、執務スペースと空間が一体で台車の往来が少ない場合は、歩行感を統一するためにタイルカーペットを連続させる選択肢も成立します。図面上に飲食の発生場所や主要な動線を書き込み、利用実態に合致する性能を洗い出しましょう。

2. 色柄で空間の印象や動線を整理できるか

床面は視界に占める面積が広いため、色柄の組み合わせ方を工夫することで壁を立てずに空間の役割を整理できます。

例えば、執務席の足元は落ち着いた濃色とし、メイン通路の床だけをトーンの異なる色柄に切り替えると、視線が自然に通路へ誘導されてスムーズな動線が生まれます。また、固定席を設けないフリーアドレスのオフィスでは、集中作業スペースとオープンなミーティングエリアで床の色合いを分けることで、視覚的な境界を無理なく提示できます。

ただし、カタログの小さな印刷見本や画面上の色味だけで決めると、実際の執務室で照明の光を受けた際に印象が白っぽく見えたり、汚れが目立ったりすることがあります。検討段階では大判の現物サンプルを取り寄せ、壁面クロスや執務家具の天板見本と並べて見え方を確認しましょう。

床の刷新に合わせて家具を選ぶ場合は、床材サンプルと天板の色味を並べて確認します。SITURAEMONの対応するテーブルやシェルフでは、素材・脚・寸法を選んで見積もり・発注できます。対応寸法と出荷予定日、配送・搬入・組立の条件を商品ごとに照合しましょう。購入には法人会員登録とログインが必要です。

3. 清掃や部分補修を無理なく続けられるか

床材は、購入時の費用に加えて清掃と補修の手間を比較します。

ノーワックス仕様でも、砂埃の除去や水拭きなどの清掃は必要です。サンゲツのOTメンテナンス案内は、ほこりの除去後に固く絞ったモップで拭き、目地から洗浄液などを裏面へ入れないよう求めています。

採用商品の手順を清掃担当へ共有しましょう。

初期費用に日常・定期清掃と部分補修の費用を加え、同じ使用期間で比較します。

選定時には、清掃業者の作業範囲や社内での日常管理手順を事前に確認しておきましょう。タイルカーペットを採用する場合は、交換作業を担当する部署をあらかじめ決め、破損時に備えて予備材を保管するスペースを社内に確保しておく運用設計が有効です。

4. 賃貸契約の原状回復条件に適合しているか

原状回復の範囲は、契約条項・特約と物件の使用状況を照合して確認します。

東京都よろず支援拠点の弁護士による解説は、通常損耗や経年変化について原則として借主に復旧義務はない一方、有効な特約がある場合には負担が生じることを説明しています。

国土交通省の原状回復ガイドラインは民間賃貸住宅を対象とする資料です。オフィスの契約へそのまま当てはめず、床の仕様、施工承認、退去時に戻す状態を貸主と書面で確認しましょう。

そのため、「剥がしやすいピールアップ工法だから退去時の費用はかからない」と独断で判断するのは危険です。既存の床を撤去して新設する場合、退去時に当初の床仕様(指定のカーペットなど)へ張り戻すことが契約で義務付けられていれば、再施工の費用と廃材処分費がそのまま借主の負担になります。

着工前の段階で賃貸借契約書の原状回復条項や特約を精読し、貸主や管理会社に施工承認申請を提出して復旧の求められる範囲、施工業者の指定条件を書面で確かめましょう。

オフィスの床工事にかかる費用の目安と見積内訳

床工事は、仕上げ材、OAフロア、撤去・下地補修、施工・搬入の範囲を分けて見積もります。材料価格の公表例だけで総額を計算しないようにしましょう。

床材の材料価格例と工事費の考え方

カタログの材料価格と、施工を含む見積もりは区別します。

オフィスコムの公表例は次のとおりです。税込の材料価格で、工事費は含みません。送料も別途確認します。

床材の種類 材料価格の公表例(1㎡あたり) ケースあたりの販売単位(目安) 備考
タイルカーペット 1,500円(税込)〜 1ケース 5㎡入り 7,500円(税込)〜 材料費のみ、工事費用は別
フロアタイル 4,140円(税込)〜 1ケース 2.5㎡入り 10,350円(税込)〜 材料費のみ、工事費用は別

1㎡単価はケース価格からの換算です。切り落としや予備材を見込み、必要数量をケース単位で確認しましょう。掲載例は、すべての商品や地域の工事相場を表すものではありません。

既存床の撤去、接着剤残りの除去、下地調整、施工、廃材処分は別に見積もります。材料費だけで比較せず、同じ作業範囲の総額を照合しましょう。

OAフロアを新設する場合は、二重床の材料と施工、仕上げ材を分けます。プラスの費用解説は、次の目安を示しています。

OAフロアの種類 同社掲載の価格目安 同社掲載の施工期間目安
置敷タイプ 2,500〜3,000円/㎡。工事費込みでは変動 1週間以上
床高調整式 5,000〜6,000円/㎡。工事費別 2週間以上

同社が示す参考範囲であり、自社の工期を確定するものではありません。面積、下地処理、既存家具の退避、新設・改修の違いを示して見積もりと工程表を依頼します。表の金額に仕上げ材や工事費がどこまで含まれるかも確認し、二重計上を避けましょう。

工事総額を左右する3つの見積項目

工事総額を左右する3つの見積項目の図解

総額の違いは、二重床の新設、撤去・下地補修、施工面積と区画構成の3点から確認します。

第1に「OAフロア新設の有無」です。既存の二重床を活用して表面の仕上げ材のみを張り替える工事と、モルタル床の上に新しく二重床を組み上げる工事とでは、施工範囲も工期も大きく異なります。

オフィス向け内装工事を手がけるプラス株式会社ファニチャーカンパニーの解説でも、下地処理の有無や工事費の包含条件によって費用が変動する点が示されています。

第2に「既存床の撤去処分費と下地補修費」です。古い床材を剥がした後の接着剤残りを除去するケレン作業や、コンクリート下地のひび割れ・不陸(凹凸)を平滑にするモルタル補修が必要になると、その分の作業費が加算されます。

第3に「施工面積と区画構成」です。同じ面積であっても、開放的な広いワンフロアと、小部屋に細かく仕切られたオフィスとでは、材料のカット手間や見切り材の長さが変わり、総額に差が生じます。

相見積もりを取る際は、見積書に「工事一式」とだけ記載されたものを避け、材料代、施工費、撤去処分費、下地補修費が明細化されているか確認しましょう。

オフィスの床を張り替える際の3つの注意点

着工前は、床構造と下地、業務・什器の移動、異なる床材の境界を確認します。

1. 床構造と下地の状態確認

竣工図面と仕上げ表を確認し、施工業者の現地調査で実際の床構造と下地を照合します。

管理会社から建物の竣工図面や仕上げ表を取り寄せ、OAフロアが敷設されているか、下地がどのような構成かを確認します。図面上で確認できた場合でも、必ず施工業者による現地調査を実施しましょう。点検口を開けて二重床パネルのガタつきや支持脚の破損がないか、既存のLANケーブルや電源配線がどのような経路で通っているかを確かめます。

OAフロアが未設置のオフィスにおいて二重床を後付けする場合は、床高の上昇が周辺設備に与える影響を慎重に計測しなければなりません。例えば、床面が上がることによってドアの開閉範囲で扉の下端が床に接触しないか、天井高が極端に低く感じられないか、隣室や廊下との出入口に不自然な段差が生じないかを現地で測る必要があります。

配線量が少なく増設の予定がない環境であれば、無理に全面二重床化せず、配線モールを用いて床上に整然と配線する工法も有力な選択肢になります。

2. 工事中の業務継続と什器の移動計画

工区、代替席、家具を退避させる場所、仮設通路を決めてから施工日程を組みます。

執務エリア全面を一度に施工すると社員の働く場所が完全に失われるため、フロアを複数の工区に分けて順番に施工する「エリア分割施工」や、週末・連休を利用した「休日・夜間施工」が一般的な選択肢となります。

ただし、分割施工を行う場合でも、作業時の騒音や接着剤の臭気、粉じんが発生するため、無条件に通常業務を維持できるわけではありません。施工中の区画からデスクやキャビネットを一時退避させる保管スペース、作業エリアを迂回できる仮設通路、社員が一時的に業務を行う代替席をあらかじめフロア内に確保しておく段取りが必要です。

工事日程と私物整理の期限は、工事範囲と社内準備に必要な日数から決め、早めに周知します。家具を新調する場合は、接着剤の硬化など使用再開の条件を施工業者へ確認し、搬入日を合わせましょう。

3. 異なる床材の境界における段差対策

3. 異なる床材の境界における段差対策の図解

異なる床材を組み合わせるときは、完成した床面の高さを比較し、境界の段差を処理します。

床材単体の厚みが近くても、下地に塗布する接着剤層の厚みや、下地自体の不陸によって、接合部にわずかな高低差が生じることがあります。境界にわずかでも段差が残ると、歩行時につまずく危険があるだけでなく、台車やキャスター付きチェアの車輪が引っかかり、床材の端部がめくれ上がって破損する原因になります。

東リの副資材案内には、製品の端部を保護する専用の見切り材が掲載されています。施工業者と仕上がり高さを照合し、適合する見切り材や下地調整の方法を選びます。見切り材を付けるだけで全ての段差が解消すると判断しないようにしましょう。

オフィス床材の選び方と工事計画まとめ

オフィスの床材は、用途、清掃・補修、配線の点検、原状回復の条件に合わせて選びます。素材名だけで性能を決めず、採用商品の仕様と現地のサンプルを確認しましょう。

費用は材料と工事を区別し、OAフロア、撤去・下地補修、什器の移動まで範囲を揃えます。工区と代替席、使用再開の条件、床材境界の納まりも着工前に決めましょう。

まず図面へ飲食する場所、配線の点検箇所、人の往来を記入し、契約書と竣工図面を揃えて管理会社・施工業者へ相談してください。