オフィス設計の進め方を5ステップで解説!ゾーニング・費用・依頼先の選び方

オフィス設計の進め方を5ステップで解説!ゾーニング・費用・依頼先の選び方

オフィス設計は、自社の働き方と利用実態を調べ、目的、ゾーニング、家具配置、工事の順に条件を具体化して進めます。

内装や家具を先に選ぶと、稼働後に席や会議室の不足、通路の混雑が見つかることがあります。経営層と現場の課題を整理し、席数や見積もりの判断基準を揃えましょう。

本記事では、オフィス設計を進める5つのステップやエリア別のレイアウト選定基準、法規や見積もりの確認方法について解説します。

オフィス設計とは?空間づくりが重要な理由

オフィス設計とは、経営方針や業務の課題に合わせ、用途別の区分、家具配置、内装、通信・電気設備を計画することです。日々の作業と移動、来客対応、休憩を支える機能を組み立てます。

イトーキのWORKPLACE DATA BOOK 2025は、全国のオフィス勤務者5000名への2023年9月調査で、67%がオフィス環境はモチベーションに影響すると回答したと報告しています。

回答者の意識を示す結果であり、改装すれば一定の効果が得られるという意味ではありません。

同社のWORKPLACE DATA BOOK 2026では、2025年8月調査の理想の出社頻度で「週5日以上」が42.0%でした。掲載された2023年調査の30.7%より高い値ですが、実際の出社日数とは区別して読みます。

自社では、出社する目的と必要な場所を調べることが先決です。

オフィス設計で整える主な機能は次の4つです。

機能 計画する内容
業務を進める 集中作業と共同作業を切り替える席・会議室
不便を減らす 空調、照明、音、家具の調節機能
自社らしさを伝える 受付の案内、製品展示、色や素材の統一
情報交換を支える 部署を越えて相談できる場所と利用ルール

限られた面積や予算でも、課題の優先順位を決めれば検討を進められます。空いている区画の用途変更やデスクの並び替えなど、必要な改善と費用を比べましょう。

オフィス設計を進める5つのステップ

オフィス設計を進める5つのステップの図解

各工程で決めた条件と理由を経営層・現場・依頼先へ共有します。後から席数や工事範囲を変えると、図面と調達の手直しが必要になるためです。

全体のスケジュールを検討する際は、希望する業務開始日から逆算して工程を組み立てます。引き渡し後の動作検証、什器の搬入設置、内装・設備工事、資材や家具の調達、関係機関への届出、詳細設計、社内承認に必要な期間をそれぞれの依頼先に確認し、遅延が後工程に響かないよう余裕を持った日程を確保しましょう。

1. 現状の課題を調査する

経営層と現場から困りごとを集め、優先して改善する課題を決めます。

経営層は組織再編や企業イメージ、現場は通話時の音や相談場所の不足を重視するなど、要望の背景は異なります。両者を並べ、どの業務で支障が出ているか、改善すると何が変わるかを確認しましょう。

全社アンケートと部署別のヒアリングを組み合わせ、会議予約と実際の利用人数も照合します。例えば、大部屋を少人数が使っているのか、必要な時間にどの規模の部屋が足りないのかを調べます。場所・時間帯・業務内容を記録し、必須条件と希望条件を分けて整理してください。

2. コンセプトを策定する

優先課題と目指す働き方を短い文章にし、空間全体の判断基準をつくります。

素材や色、会議室数の意見が分かれたときは、この目的へ戻って比較します。見た目の好みだけで仕様を変えると、先に決めた席数や予算と整合しなくなるためです。

例えば「静かな集中席と、短い相談ができる場所を両立する」と決めた場合、通話・会話を行う場所と個人作業の席を分けます。コーポレートカラーや木目の採用は、その使い方と事業のイメージに合わせて検討します。抽象的な言葉で終わらせず、設計上の選択まで関係者へ共有しましょう。

3. ゾーニングを検討する

3. ゾーニングを検討するの図解

ゾーニングでは、用途、機密性、来訪者と社員の移動からフロアを区分します。

基本となる4区分は次のとおりです。来訪者が執務画面や書類を見ずに会議室へ移動できるよう、受付と来客席を入口近くへまとめる案から比較します。

区分 主な用途 配置・運用で確認すること
パブリック 受付、来客用会議室 初めて来た人が迷わず移動できるか
ワーク 社員の執務、個人作業、Web会議 会話と集中の場所を使い分けられるか
セキュリティ サーバー室、機密書類保管室 入室者、施錠、画面・書類の見え方を管理できるか
通路 出入口と各区画をつなぐ 家具・扉・人の動きが重ならず通れるか

ザイマックス総研の大都市圏オフィス需要調査2025秋は、平均出社率71.0%を報告しています。2025年11〜12月の調査で、対象は東京・大阪・名古屋・福岡など7地域、有効回答1555件を事業所単位で集計した結果です。

ただし、この外部平均値をそのまま自社の席数計算に当てはめるのは適切ではありません。自社の曜日別・時間帯別の在席人数、全社ミーティングが行われる日のピーク出社率、将来の採用計画を調査し、最大利用時に対応できる執務席と共用スペースのバランスを導き出す必要があります。

4. レイアウトと家具を選定する

ゾーニングに具体的な机と収納を配置し、用途・寸法・納入条件が合う家具を選びます。

比較の軸は、コンセプトとの整合、必要な日までの調達、寸法・仕様への対応です。PCやモニターの台数、配線経路、脚と膝の干渉も確認し、見た目と日常の使い方を両方検討します。

現地調査では、壁面や柱からの寸法を実測したうえで、着席時に椅子を後ろへ引くための余白や、着席者の背後を別の人が安全にすれ違える通路幅を確保できているかを確認します。図面上で家具の外寸が収まっているように見えても、引き出しの開閉や立ち座りの動作余白が不足していると、運用開始後に強い圧迫感や通行障害が生じます。

エレベーターの扉寸法、階段の踊り場、廊下の曲がり角など、梱包された家具を問題なく搬送できる搬入経路の寸法も事前に確認が必要です。

既製品の寸法が合わない場合は、SITURAEMONの対象テーブルで、素材・脚・幅・奥行きを選ぶサイズオーダーも比較できます。指定範囲内で調整し、発注前に柱や通路との関係を図面で照合しましょう。

購入には法人会員登録とログインが必要です。発送目安、入金確認の条件、配送・組立の範囲を商品ごとに確かめます。発送日を、家具の設置が完了する日として扱わないようにしてください。

5. 詳細設計から施工・引き渡しへ進む

詳細図面と見積明細を確定し、着工準備、施工、検収、引き渡しへ進みます。

見積もり内容と実施設計図面を細部まで照合し、工事に含まれる範囲と除外事項を明確にします。現在使用しているオフィスを運用しながら改修を行う「居ながら工事」の場合は、作業エリアを区切って順次進める段階施工や、週末・夜間工事の採用を検討し、業務の停滞や騒音による障害を最小限に抑える対策を講じます。

工事自体の完了日と、ネットワーク設定や機器移設を終えて社員が実際に業務を開始できる日は異なるため、引き渡しから稼働までの日数を別個に確保しておきましょう。

引き渡し検査では、依頼先の担当者と数量・仕様、建具と収納扉の開閉、コンセントの給電、LAN接続と通信を確認します。不具合は是正期日と担当者を記録し、確認が済んだ項目と未対応の項目を共有しましょう。

オフィス設計は空間を引き渡して終わりではありません。入居後は会議室の予約稼働状況や社員の声を定期的に確認し、使われ方に偏りがある場合は運用ルールの改定や家具の配置換えを行い、継続的な改善を図りましょう。

エリア別の設計ポイントとレイアウトの選び方

集中、共同作業、来客対応、休憩では必要な場所が異なります。各エリアの目的を決め、視線、会話、機密性、人が動く空間から配置を比較します。

デスクレイアウト6パターンの特徴と選び方

代表的な6パターンの特徴を比べると、業務に合わせた配置を検討しやすくなります。

パターン 主な特徴 適した業務 利点 留意すべき条件
対向型 机を正面同士で向かい合わせて配置 頻繁に声掛けを行うチーム業務 視覚的な一体感があり省スペースにまとめやすい 正面からの視線が干渉しやすく通話音が重なりやすい
背面型 背中合わせになるよう机を配置 集中と相談を両立させたい業務 作業時は正面の視線を避けやすく振り返るだけで相談可能 椅子を引いた際の背後スペースに十分な余白が必要
同向型 全席が同じ方向を向く並列配置 受付対応や共通画面の確認業務 他者の視線を受けにくく前方の視野が安定する 前後・左右の席で直接的な声掛けが行いにくい
クロス型 机の向きを直角に交差させて配置 部門横断の共同作業が多い業務 単調な視線を崩し席ごとの向きを変えられる 家具の取り合いが複雑で配線や動線計画が難しくなる
ブーメラン型 角度の付いた天板を用いて配置 複数画面や大型図面を広げる専門職 手の届く範囲で広い作業天板を確保できる 特殊形状のためフロア全体の面積効率が落ちやすい
ブース型 パネルや間仕切りで個別に囲う配置 機密性の高いデータ処理や深い集中作業 パネルの高さに応じて視線を遮りやすい 1席あたりの専有面積が大きく周囲との連携が途切れる

個人作業を重視する席では背面型やブース型、短い相談を交わすチームでは対向型などを比較します。ただし、机の向きだけで音や視線の問題が解消するわけではありません。

機密情報を扱う席は、背後の通路から画面が見えないか、通話内容が隣席へ届かないかを確認します。必要に応じて画面の向きや目隠しパネル、通路の位置を調整しましょう。

全フロアを同じ配置に揃える必要はありません。チーム席と個人作業の席を組み合わせ、各席へ移動できる通路と配線経路を確かめましょう。

会議室と集中スペースの設計

ハイブリッドワークの普及に伴い、対面での打ち合わせとオンライン会議が混在するオフィスでは、会議室と個人作業スペースの不足が顕著な課題となっています。

同調査の詳細版では、メインオフィスに課題を感じている回答者へ内容を尋ねた結果、会議室・リモート会議用スペースの不足が57.7%でした。

全回答者に対する割合や、部屋の人数構成が不足の原因だと示す数値として扱わないようにします。

自社では会議予約と利用人数を照合し、必要な部屋の規模を判断します。例えば、1人のWeb会議が大部屋を使っているなら1人用の席、2〜4人の打ち合わせが多いなら小規模室を比較します。大会議室を増やす前に、時間帯ごとの用途と予約ルールを見直しましょう。

音の対策は役割が異なるため、次のように区別します。

対策 主な役割 検討する条件
遮音 壁・建具を通る音を抑える 壁と扉の仕様、隙間、天井内の回り込み
吸音 室内の反響を抑える 話す位置と吸音面の配置、仕上げ材
サウンドマスキング 背景音で会話内容を聞き取りにくくする 聞かれたくない側の設置位置、声量と背景音

ヤマハの音場パネルの説明は反響の調整、スピーチプライバシーFAQは背景音による聞き取りにくさを説明しています。

吸音材を付けた席を、防音の個室と同じ性能だと考えないようにしましょう。

コクヨの音対策の解説でも、家具やブースの仕様、屋根、周囲の暗騒音で聞こえ方が変わると示されています。設置場所で普段の端末とマイクを使い、通常の声量で話して、隣席や通路へ届く会話を確認しましょう。

エントランスとリフレッシュスペース

エントランスは案内と企業イメージ、リフレッシュスペースは休憩と交流の使い方を整理します。

受付は、ロゴや展示を見せる場所と、呼び出し・待機の場所を計画します。初めて訪れた人が受付へ迷わず着けるか、待機席から執務画面や書類が見えないかを確かめましょう。製品展示は、通路や案内表示を隠さない範囲で配置します。

休憩席は、会話するテーブル席と、1人で静かに過ごす席を離すなど、使い方を分けます。休憩と業務の場所を利用者が判断できる配置・ルールにしましょう。

観葉植物は日照、給排水、手入れの担当を確認します。自然光や木目を取り入れる場合も、まぶしさや清掃の手間を比較します。会話音や飲食の匂いが執務へ届く場所は、建具や距離、換気の条件を依頼先と検討しましょう。

フリーアドレスとABWの導入判断

フリーアドレスやABWは、自社の業務と必要な場所を整理して導入を判断します。

方式 考え方 用意する条件
フリーアドレス 個人の固定席を設けず、利用する席を選ぶ座席運用 席の把握、予約、荷物の保管、退勤時の片付け
ABW(Activity Based Working) 資料作成・共同作業・Web会議などの活動に合わせて場所を選ぶ働き方 活動に合う複数の場所と、選んで移動できる運用

座席を自由化するだけでは、活動ごとの場所を備えたABWにはなりません。

サイオステクノロジーの2025年調査では、導入後の中断や形骸化を経験した人が半数を超えました。全国の20〜60代の働く男女1077名へ2025年3月に尋ねた個人の経験であり、企業の導入失敗率とは区別します。

自社では、席が固定化していないか、荷物が放置されていないか、同僚の場所が分からず相談が遅れないかを調べましょう。

導入の判断では、次の3点を確認します。

判断軸 確認する業務条件 比較する運用
機密性 画面・紙・機材をどこまで限定して扱うか 入室管理された固定区画や席、必要な視線対策
チーム連携 指導や口頭相談をどの程度行うか 部門ごとのグループアドレス、近接するチーム席
荷物・書類 毎回運ぶ資料や専用機材の量 固定席、個人ロッカー、近くの共用収納

全社一律で完全なフリーアドレスを導入するのではなく、部門ごとに大まかな着席エリアを指定する「グループアドレス」を採用したり、固定席を維持しながら共用の集中スペースやミーティングブースを併設したりする中間的な選択肢も有効です。

導入を決める際は、個人用ロッカーの設置、退勤時の「クリーンデスク(机上を空にする)」ルールの徹底、未利用予約の自動解放ルールなどをあらかじめ策定し、まずは一部の部門で試験運用を行いながら社員の利用状況を確認していきましょう。

オフィス設計で押さえるべき3つの注意点

法令、見積もり、依頼先の責任範囲は、企画・基本設計の段階で確認します。施工が進んでから条件が変わると、図面や工事を修正する負担が増えるためです。

1. 関連法規の事前確認

建築基準法、消防法、事務所衛生基準規則について、対象建物と業務への適用を設計者・管理会社へ確認します。

建築基準法施行令の廊下幅は、第117条の適用範囲と第119条の対象・配置条件を照合します。机の間の通路に、法令の廊下幅をそのまま当てはめて適法性を判断しないようにしましょう。

排煙設備も第126条の2の用途・規模・除外条件によって対象が変わります。間仕切りの変更で排煙区画へ影響しないか、家具が避難経路や排煙窓の操作を妨げないかを図面で確認します。

消防法第17条に関係する設備は、対象建物と改修内容から要否を確認します。天井までの間仕切りを加えると、感知器、スプリンクラー、誘導灯などの増移設が必要になる場合があります。

東京消防庁の可動式ブースの案内は、用途・床面積・仕上げ・消火や警報設備などの条件を満たす場合の扱いを示しています。小さいブースなら無条件に免除されると判断せず、仕様書と図面を揃えて所在地の消防署へ早めに相談してください。

事務所衛生基準規則では、常時就業する室の気積は1人10m³以上です。設備の容積と、床面から4mを超える高さの空間は除きます。換気と、一般的な事務作業の作業面照度300lx以上も確認します。

人数や間仕切りを変える場合は、改修前後の図面と運用を依頼先へ示し、面積だけで収容できる人数を決めないようにしましょう。

2. 費用の内訳と見積もりの確認

見積もりは、次の項目を分けると工事範囲と負担額を比較しやすくなります。

費用項目 主な内訳と作業内容 確認すべきポイント
設計・監理費 企画提案、基本設計、実施図面作成、現場監理 図面修正の回数上限や追加費用の発生条件
内装工事費 床(タイルカーペット等)、壁(間仕切り・塗装)、天井工事 夜間・休日施工による割増料金の有無
設備工事費 照明、空調、コンセント・LAN配線、防災設備の増移設 ビル指定業者(B工事)の範囲と単価設定
家具什器費 デスク、チェア、収納庫、会議テーブル、個別ブース 配送費、現地組み立て・据え付け費用の含有
移転・廃棄費 既存什器の解体・搬出運搬、産業廃棄物の適正処理 廃棄物の区分・処理方法、必要な管理書類と発行範囲
原状回復費 既存オフィス退去に伴う補修・撤去工事(賃貸借契約に基づく) 管理会社の指定業者条件と工事範囲の境界

「内装工事一式」の記載だけでは、配線、補強、養生、搬入などの範囲が分かりません。数量・仕様・単価を確認し、含まれる作業と除外項目を明細に残しましょう。変更が生じたときの承認方法と追加費用の条件も契約前に照合します。

相見積もりは同じ図面・仕様書・施工時間を提示して比較します。既存家具を使う案も、新品の購入費と、解体・運搬・再組立の費用を含めて比べます。総額の安さだけでなく、必要な作業が揃っているかを確かめましょう。

3. 設計会社と施工業者の選び方

依頼先は、設計・施工・調達・引き渡し後の対応をどこまで担うかで比較します。

依頼先 主な依頼の組み方 契約前に確認すること
設計専門事務所 設計を依頼し、施工は別会社へ発注する 調査・図面・監理の範囲、施工者との調整担当
施工会社 工事を中心に依頼し、調査や基本方針は自社で整理する 設計提案を含むか、設備工事と現場管理の範囲
設計施工一括会社 企画・設計・工事の窓口をまとめる 明細の開示、変更承認、品質を確認する担当

会社の形態だけで提案力や工事品質が決まるわけではありません。担当者の実績と、自社案件での役割を確かめます。

選定を行う際は、自社と同規模・同業態における過去の施工実績を確認し、写真の美しさだけでなく、工事期間中の業務継続や特殊なビル設備制約にどう対処したかを聞き取りましょう。自社の課題に対する提案の深さ、見積もり明細の開示姿勢、そして引き渡し後のアフターフォロー体制を含めて総合的に評価します。

設計変更の連絡先、費用承認の手順、施工中のトラブルの責任分担を文書に残します。

オフィス設計まとめ

オフィス設計は、利用実態の調査、コンセプト、ゾーニング、家具配置、詳細設計と施工の順に条件を固めます。

自社のピーク在席人数と会議の使い方を基に場所を配分し、法令の適用、見積範囲、依頼先の役割を早い段階で確認しましょう。

まず経営層と現場の要望、在席・会議記録を集め、優先課題と予算を社内提案にまとめてください。