オフィスに個室を作るには?3つの方法と費用相場を比較

オフィスに個室を作るには?3つの方法と費用相場を比較

オフィスの個室化は、主にパーティション・個室ブース・造作壁の3つの方法で実現できます。どの手段が自社に合うかは、目的・予算・工期のバランスで変わってきます。

Web会議やハイブリッドワークが定着したことで、オフィスに静かな個室空間を求める企業が増えています。月刊総務の調査では、現在のオフィス課題として「個別ブースが足りない」が63.7%で最多に挙がっており、個室化への需要は多くの職場で共通しています。

本記事では個室化の方法・効果・注意点を整理し、自社に合った手段を選ぶための判断材料を提供します。

オフィス個室化の3つの方法と費用目安

オフィスを個室化する方法は大きく3つに分かれます。工事不要で手軽に導入できるパーティション、防音性と機動性を兼ね備えた個室ブース、そしてデザインの自由度が最も高い造作壁です。それぞれ特徴が異なるため、自社の課題に照らし合わせて選ぶことが重要です。

1. パーティションで仕切る方法

パーティションには、工事不要で設置できるローパーティションと、天井まで届く施工型の2種類があります。ローパーティションはキャスター付きのものも多く、レイアウト変更にも柔軟に対応できます。費用の目安は1枚あたり数千円〜数万円と幅があり、低コストで試しやすい点が特徴です。

施工型パーティションは天井まで達するため遮音性が高く、会議スペースや応接室の仕切りとして有効です。一方、天井まで閉じた空間になる場合は消防法の確認が必要になるケースがあります。費用目安は1㎡あたり数万円〜と、ローパーティションより高額になります。

ただし、パーティションで完全な防音効果を得るのは難しい面があります。Web会議での音漏れが主な課題であれば、次に紹介する個室ブースの導入も合わせて検討することをお勧めします。より手軽に個人の集中環境を確保したい場合は、デスクパーテーションの活用も検討してみましょう。

2. 個室ブースを設置する方法

個室ブースにはフルクローズ型とセミクローズ型があり、防音性・換気・コストのバランスで選択肢が変わります。フルクローズ型は四方を壁と扉で完全に囲う設計で、防音性は最も高いですが、その分コストも上がります。41社の価格を比較したデータでは、1人用が30万円〜150万円、2人用が90万円〜180万円という価格帯が示されており、導入には相応の予算確保が必要です。また、密閉空間になるため消防法上の対応を求められる場合があります。

セミクローズ型は天井が開放されていたり、一面が開いていたりする設計で、防音性はフルクローズ型に劣ります。しかし設置のハードルが下がり、コストも抑えられます。どちらのタイプも工事不要で搬入・撤去できるため、賃貸オフィスでも比較的導入しやすい点はメリットです。

3. 造作壁で個室をつくる方法

造作壁は、内装工事によって壁を新設する方法です。空間のデザインを一から設計できるため自由度が高く、パーティションやブースでは実現しにくい高い防音性も確保しやすいです。費用の目安は1㎡あたり数万円〜十数万円で、さらに内装仕上げ費や設備工事費が加わります。工期も数週間〜かかることが多く、他の手段と比べてコストと時間の負担は大きくなります。

賃貸オフィスの場合は、退去時に原状回復義務が生じる点にも注意が必要です。造作にかけた費用と同程度の撤去費用が発生するケースもあるため、長期入居が見込める物件での実施が現実的です。

また、造作壁で個室を作ると空間サイズが規格外の寸法になることが多く、既製品のデスクや収納が収まらないケースがあります。什器選びも個室計画と並行して進めることが、使い勝手のよい空間づくりにつながります。この点については後半の個室空間に合う什器の選び方で詳しく説明します。造作壁による個室化は本格的な内装工事となるため、オフィスデザイン会社への依頼を検討する必要があります。

方法

費用目安

工期

防音性

原状回復のしやすさ

ローパーティション

数千円〜数万円/枚

当日〜数日

低め

容易

施工型パーティション

数万円〜/㎡

数日〜1週間程度

中〜高

やや手間がかかる

個室ブース(フルクローズ)

30万〜150万円/台(1人用)

当日〜数日

高い

比較的容易

個室ブース(セミクローズ)

数万〜30万円/台

当日〜数日

中程度

容易

造作壁

数万〜十数万円/㎡+内装費

数週間〜

最も高い

コストがかかる

費用はオフィスの条件やメーカー、施工会社によって大きく変動します。上記はあくまで参考目安として捉えてください。

 

個室化で期待できる3つの効果

月刊総務の調査では「個別ブースが足りない」が63.7%で最多の課題として挙がっており、個室化の需要は現場で強く感じられていることがわかります。では、実際に個室化すると何が変わるのでしょうか。集中力向上・Web会議対応・情報セキュリティの3点に絞って整理します。

1. 周囲の音を遮断し集中作業の生産性が上がる

オープンオフィスでは、周囲の会話や電話の音が集中を妨げる場面が少なくありません。「少し気になる程度」であっても、思考を要する作業の質には影響が出ます。

Bernstein & Turbanの研究では、オープンオフィスへの移行後に対面コミュニケーションが約70%減少し、代わりにメールやIMによるやり取りが増加したことが示されています。オープン化が期待するコミュニケーション促進とは逆の効果が生じていた事実は、オフィス設計を考える上で示唆的です。

個室や半個室の空間を設けることで、集中が必要な作業を静かな環境でこなせるようになります。個人の生産性が上がれば、結果としてチーム全体のアウトプット量にも好影響をもたらします。

2. Web会議やオンライン商談の専用スペースを確保できる

総務省の通信利用動向調査では、テレワークを「導入している」企業の割合が47.3%に達しています。ハイブリッドワークが標準化しつつある中で、オフィスでのWeb会議は日常業務の一部となっています。

自席でのWeb会議は、声が周囲に漏れる問題と、周囲の音がマイクに入る問題の両方が同時に発生します。会議室を予約しようとしても空きがなく、廊下や共有スペースでやむを得ず対応しているケースも見られます。

個室スペースがあれば、会議室の予約争いを気にせず必要なタイミングで通話できるようになります。オンライン商談の質向上や、相手先への印象改善にもつながる実務的なメリットです。

3. 機密情報の漏洩リスクを抑えられる

自席やカフェスペースでの商談・採用面接・社外秘の共有は、第三者に会話内容が聞こえるリスクを伴います。情報セキュリティの観点から、機密性の高い会話には閉じた空間が必要です。

個室化によって、会話の内容を物理的に遮断できます。ただし、完全な防音性を確保するにはフルクローズ型ブースか造作壁が前提になります。セミクローズ型では音の遮断に限界があるため、情報漏洩対策を主目的とする場合は仕様の確認が欠かせません。

導入前に把握しておきたい3つのデメリットと対策

個室化には集中環境の整備やWeb会議対応など多くのメリットがありますが、課題もあります。事前に把握しておけば対策を講じることが可能です。

1. 設置スペースとコストの確保が必要になる

個室ブースは1台あたり約1〜2㎡のスペースを占有します。既存のオフィスに設置する場合、執務席や通路の面積を削る必要が出てくることも少なくありません。特にフルクローズ型は30万〜150万円の費用がかかり、複数台を導入するとなれば予算は相当な規模になります。造作壁はさらに内装工事費が加わるため、トータルコストはより高額になりえます。

対策としては、まずセミクローズ型やパーティションで小規模に始め、利用状況や社員の反応を見て段階的に拡張する方法が現実的です。一度に全フロアを個室化しようとせず、ニーズの高いエリアから試すことで、初期投資を抑えながら効果を検証できます。

2. 社員間のコミュニケーション機会が減りやすい

個室化を進めると「社員がこもりきりになるのでは」「部署間の壁ができるのでは」という懸念を経営層から受けることがあります。コミュニケーションの減少を心配する声は、個室化の導入をためらわせる要因になりがちです。

しかし前述のBernstein & Turbanの研究が示すように、オープンオフィスでも対面コミュニケーションは想定より少なくなる傾向があります。問題の本質は空間が開いているか閉じているかではなく、空間の設計とその使い方にあります。

対策として有効なのは、個室とオープンスペースの比率を意識した設計です。集中作業には個室を、雑談や打ち合わせにはオープンエリアを使うというABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)的な発想で空間を分けると、コミュニケーションの機会を意図的に確保しやすくなります。また、個室ブースに利用時間の目安を設けることで、長時間の占有を防ぐルール運用も効果的です。

3. クローズ型ブースは暑さ・換気への対処が要る

フルクローズ型の個室ブースは密閉性が高い分、夏場はブース内の温度が上昇しやすく、利用者から「暑い」「息苦しい」という声が出やすいです。特に1人用の小型ブースでは空間が狭く、体温と機器の発熱が重なると短時間でも不快感が生じます。

卓上ファンを置く程度では根本的な解決にはなりません。エアコン搭載モデルや換気機能付きモデルを選ぶことが、長時間利用の快適性確保には重要です。導入前にブース内の換気方式(排気ファンの有無・外気取り込みの可否など)を必ず確認し、1時間以上の継続利用が想定される用途には空調付きモデルを優先的に検討することをお勧めします。

消防法・天井タイプなど設置前の確認事項

個室ブースや施工型パーティションは、設置するだけで業務運用を始められるわけではありません。法規制と設置条件の事前確認が必須であり、これを怠ると後から是正対応を求められるケースがあります。総務・ファシリティ担当者が押さえておくべきポイントを整理します。

消防法・建築基準法への適合確認

天井まで達するブースや施工型パーティションは、消防法上「居室」に準じた扱いを受ける場合があります。そのため、スプリンクラーや煙感知器などの消防設備の設置義務が生じうる点を最初に把握しておく必要があります。

東京消防庁の案内ページによると、可動式ブース内には消防用設備等の設置が必要ですが、一定の基準を満たすものについては特例により一部の消防用設備等を設置しないことができます(令和6年10月28日運用開始)。この特例は消防予第211号(令和5年3月30日)に基づくもので、要件を満たす場合に限って設備の設置が免除されます。

主な要件は以下の通りです。

  • 床面積が6㎡以下であること

  • 天井および壁の仕上げが不燃材料であること

  • 住宅用下方放出型自動消火装置が設置されていること

  • 開口部が適切に設けられていること

  • 可動式であり、固定されていないこと

  • その他所轄消防署が定める要件を満たすこと

建築基準法の観点では、密閉空間に対する換気設備の要件も関わってきます。長時間の使用を想定する個室は、居室の換気基準(1時間あたりの換気回数など)への適合も確認が必要です。

消防法と建築基準法のいずれについても、設置前に所轄の消防署へ相談することが最も確実な対応です。製品仕様書を持参して事前協議することで、設置後のトラブルを防げます。

オフィスの天井タイプと設置制約の確認

パーティションやブースの設置方法は、オフィスの天井タイプによって制約が変わります。天井はシステム天井と在来天井の2種類に大別されます。

システム天井はグリッド状のTバー(金属フレーム)で構成されており、照明や空調パネルがTバーに合わせて配置されています。施工型パーティションを設置する場合は、Tバーの位置に合わせた施工が必要になるため、任意の位置に設置できないケースがあります。在来天井はコンクリートスラブや木下地に直接仕上げ材が施工されていることが多く、比較的自由な位置への固定が可能です。

また、天井高が2.7m以下のオフィスでは、フルクローズ型の高いブースが物理的に収まらないケースもあります。事前に天井高を採寸してから製品選定に進むことが重要です。発注前にビル管理会社に天井タイプ・耐荷重・工事可否を確認し、必要に応じてビルオーナーの許可を得るフローを踏むことをお勧めします。

個室空間に合うオーダー什器の選び方

造作壁やパーティションで作った個室は、既存の規格寸法とは異なる空間サイズになりやすいです。奥行が既製品デスクと合わない、幅が中途半端で収納が入らない、といった問題は珍しくありません。空間を最大限活用するには、什器をサイズから指定できるオーダー対応が現実的な解になります。

ただし、従来のオーダー家具は納期1〜2ヶ月・図面作成が必要・最低発注数の制約があるなど、手軽とは言えない側面がありました。この課題に応えるサービスとして、モジュール型オーダー造作家具プラットフォームのSITURAEMON(シツラエモン)があります。

項目

内容

運営会社

SITURAEMON

サービス種別

モジュール型オーダー造作家具プラットフォーム

主な利用者層

オフィス・店舗・施設の設計者、ファシリティ担当者(法人専用)

主な機能

天板×脚の組み合わせによるカスタムオーダー、部材単位での個別発注、Web上での発注完結

サイズ対応範囲

幅W600〜4000mm、奥行D240〜2000mm

納期

最短5営業日で出荷

料金

¥19,380〜¥270,600(税抜)※商品により異なる。法人会員登録により卸売価格で購入可能

SITURAEMONの特徴は、天板と脚の組み合わせで7,000通り以上のカスタマイズが可能な点です。幅は600mmから4,000mmまで対応しており、造作個室のような規格外サイズにも対応できます。図面の作成は不要で、Web上から寸法・素材・カラーを選んで発注が完結します。

最短5営業日での出荷に対応しているため、工事完了後すぐに什器を揃えたい場面にも対応しやすいです。ただし、法人専用サービスであり個人での利用はできません。利用には法人会員登録が必要で、オンライン登録は最短1〜2分で完了します。

SITURAEMONの公式サイトはこちら

オフィス個室化の進め方まとめ

オフィスの個室化には3つのアプローチがあります。まずコストを抑えて試したい場合はパーティション、防音性と移設のしやすさを両立させたい場合は個室ブース、デザインと遮音性を最優先にする場合は造作壁が適しています。

どの方法を選ぶ場合でも、天井まで閉じた空間を作る際には消防法の確認と天井タイプの把握が欠かせません。設置後に是正を求められるケースを避けるためにも、発注前に所轄消防署やビル管理会社への確認を先に進めることが重要です。

個室空間を作ることと、その空間を使いやすく整えることはセットで考える必要があります。什器のサイズが合わない状態では、せっかくの個室が使いにくい空間になりかねません。造作や特殊寸法の空間では、オーダー対応のSITURAEMONのような選択肢も含めて、什器調達まで一体的に計画することが快適な個室環境の実現につながります。

SITURAEMONの公式サイトでは、サイズや素材の組み合わせを確認できます。個室化の計画と並行して、什器選びの検討を進めてみてください。