オフィス図面は、現状の平面図に用途・家具・動線を重ね、配置案を関係者と共有するための資料です。移転や増員の際は、働き方の方針を決めてから、ゾーニング、家具配置、清書の順に進めます。
ExcelやPowerPointでも社内検討用の図面を作れます。ただし、机の寸法だけで配置を決めると、椅子の引き代や設備への影響を見落とすおそれがあります。
本記事では、作図の4手順、Officeツールの設定、寸法・法令の確認点、自作と専門家への依頼を分ける判断基準を解説します。
オフィスレイアウト図面とは?種類と作成の目的
オフィスのレイアウト図面は、建物の平面図に用途別の区画、家具・設備、人の動線を重ねたものです。机の配置に加え、通行経路や設備との位置関係を検討します。
確認する内容に応じて、主に次の図面を使います。
| 図面 | 主に記載する内容 | 確認する場面 |
|---|---|---|
| 平面図 | 壁・柱・ドア・窓、区画と家具の配置 | 用途別の面積、家具と通路の関係を決める |
| 設備図 | 電源・LANの端子や配線経路 | 各席の電源・通信接続を計画する |
| 天井伏図 | 照明・空調・感知器・スプリンクラー等 | 間仕切りと天井設備の干渉を調べる |
図面は、社内で配置案を比較し、施工業者や家具メーカーに寸法・仕様を伝える資料として使います。間仕切りによる個室新設などでは、消防署やビル管理会社への届出・申請にも必要になる場合があります。提出先に必要な記載内容を確認しましょう。
社内の意見集約にはラフ図面、家具の寸法・仕様の確定には設計図面、工事の納まりには施工図面を使います。受け手と目的に合わせて、必要な精度を段階的に上げていきましょう。
レイアウト図面を作成する4つの手順

現状の平面図を入手したら、働き方の方針、用途別の区画、家具と動線、清書と共有の順に具体化します。各段階で関係者と確認しながら進めましょう。
1. 働き方のコンセプトを明確にする
図面作成の最初のステップは、社員が日々の業務で直面している課題を抽出し、オフィスに求める働き方のコンセプトを定めることです。
どのような空間を目指すのかという方針が定まっていないと、エリアの広さや家具の配置を決める根拠が曖昧になり、後工程で意見が対立した際に判断がぶれやすくなります。
まずは社内アンケートやヒアリングを通じて、「会議室が常に埋まっていて打ち合わせができない」「周囲の話し声が気になって集中業務が進まない」「来客時に執務席のPC画面が見えてしまう」といった具体的な困りごとを収集しましょう。
集まった課題から、部門間の対話を促すコミュニケーション重視、個人作業のための集中重視、情報セキュリティと接客を意識した来客対応重視といった優先順位を整理します。すべてのエリアをひとつの性格に統一する必要はなく、対話エリアと集中エリアを明確に分けるなど、業務特性に合わせて必要な機能の優先順位を明確にしておくことが大切です。
2. ゾーニングで空間の用途を配分する
2つ目の手順は、定めたコンセプトに沿ってオフィスフロア全体を用途ごとのエリアに区分けするゾーニングです。
執務、会議、休憩、受付、バックヤードといった各機能について、同時に利用する人数や利用頻度を算出し、必要な床面積を割り振っていきます。一般的な面積比率を形式的に当てはめるのではなく、リモートワークの導入割合や来客の頻度といった自社の働き方の実態に合わせて面積を決定することが重要です。
あわせて動線の分離を綿密に計画します。日常的に連携が多い部署同士は近くに配置し、部署間の移動負担を軽減させます。一方、来客動線は受付から会議室まで分かりやすくつなぎ、機密情報を扱う席を横切らない配置を検討します。避難経路と扉の開閉範囲を保ち、通路側から画面や書類が見える位置も確認しましょう。
3. 什器の配置と動線を計画する
3つ目の手順は、区分けした各エリアに対して具体的なデスクや収納家具を配置し、通路動線を確保することです。
デスクの配置形態には、向かい合って座る対向島型、同じ方向を向く同向型、席を固定しないフリーアドレス型などがあります。対向島型は声をかけやすい一方、正面の視線が気になる場合があります。同向型では対面席との視線交差を避けやすくなります。フリーアドレスでは、出社のピークに必要な席数、私物の保管場所、固定電話・専用端末の扱いを確認します。
動線設計では、複合機や給湯室といった共用設備への経路を主要通路沿いに確保し、集中作業を行う座席の間を人が頻繁に行き来しない経路を作ることが大切です。家具の配置を検討する際は、天板の幅や奥行きだけでなく、脚の張り出しや収納扉の開閉、椅子の引き代を含めた実寸をカタログ等で照合しましょう。
オフィス家具の選定では、希望する寸法や機能に合致し、必要な期日に納品できる調達手段を確保することが欠かせません。SITURAEMON(シツラエモン)では、天板や金物の仕様をWEB上で選び、見積もりや在庫を即時に確認して図面不要で発注できるスマート造作家具を提供しています。
購入には法人会員登録とログインが必要です。最短5営業日後の出荷は商品・在庫・手配条件によるため、到着日や組立日程と合わせて確認します。WEB注文の図面不要という案内は、オフィス設計や消防届出の図面を不要とする意味ではありません。
4. 図面を清書して関係者と共有する
4つ目の手順は、まとまった配置案を正確な図面として清書し、関係者間で共有して合意を形成することです。
社内のラフ検討で方向性が合意できたら、施工業者や家具メーカーに渡す清書図面へ落とし込みます。図面には、什器の外形寸法や品番に加え、壁・柱・開口部の位置、コンセントやLANポート、照明や空調器具の位置を漏れなく記入します。検討中の未確定箇所と決定事項を記号や注記で明確に区別しておくと、関係者間の認識違いを防げます。
完成した図面はPDFなどのレイアウトが固定される形式で書き出し、日付や版番号を記録して関係者に共有しましょう。編集用の元データの保管場所と更新担当者を明確に決めておくことも大切です。組織変更や増員に伴う将来のレイアウト変更に備え、常に最新の配置状態を図面に反映できる運用体制を整えておくことが望まれます。
ExcelとPowerPointで図面を自作する方法
ExcelやPowerPointは、社内で配置案を比較する下書きに使えます。縮尺を統一し、壁や家具の図形に実寸を併記して作成しましょう。工事に必要な精度は、施工会社に確認します。
Excelの方眼設定と什器の配置手順
Excelで図面を作成する際は、方眼紙のように縦横の比率が均等なグリッドを用意することから始めます。標準表示のままでは行の高さがポイント単位、列の幅が文字数単位で管理されているため、同じ数値を入力しても正方形にはなりません。
そこで、Microsoftサポートの列幅や行の高さを変更する手順に従い、「表示」タブから「ページレイアウト」表示へ切り替えます。
この表示モードでは列幅と行高をセンチメートルなどの長さの単位で指定できるため、縦横を同じ数値(例えば0.5cm)に設定して正確な正方形の方眼シートを作成できます。
縮尺は「紙面1cm=実寸1m」などの計算しやすい比率を設定します。1セルを0.5cmとした場合、1セルは実寸50cm(500mm)に相当します。例えば幅1,800mm×奥行き700mmのデスクを配置する場合、1,800÷500=3.6セル、700÷500=1.4セルとなります。
壁や柱をセルの罫線や塗りつぶしで描画した後、「挿入」タブから長方形の図形を配置し、「図形の書式」タブの「サイズ」グループで高さ0.7cm、幅1.8cmと図形サイズの数値入力を行います。
セルの境界に無理に合わせず、図形プロパティで実寸を入力したうえで、図形内に「デスク W1800×D700」といった実寸ラベルを併記すると、通路の空き寸法を視覚的にも数値的にも正確に検討できます。
PowerPointの図形配置と出力手順
PowerPointは図形を自由に配置しやすく、レイアウト案に写真や説明文を添えてそのまま経営層への提案スライドとしてまとめられる点が利点です。
まずスライド上で「1cm=実寸1m」といった統一縮尺を定めます。外壁や間仕切り壁を線や長方形で描画した後、什器にあたる図形を挿入し、「図形の形式」にある「サイズ」項目へ縮尺換算した数値を直接入力して配置します。レイアウト変更の前後を別々のスライドに並べ、変更の意図やメリットを文章で添えることで、社内提案資料としての完成度を高められます。
図形の位置合わせにはグリッド機能が役立ちますが、端数寸法を扱う際には意図しない位置に吸着することがあります。
位置がずれる場合は、MicrosoftサポートのPowerPointグリッド操作にあるとおり、「表示」タブの「グリッドとガイド」から「描画オブジェクトをグリッド線に合わせる」のチェックを外して微調整を行いましょう。
完成図はPDF形式で保存すると、配置を固定して共有できます。ただし、出力時の倍率によって紙面上の縮尺は変わります。
PowerPointとプリンターの用紙・倍率設定を確認し、既知の寸法で出力結果を測りましょう。
Excelでも印刷の拡大縮小設定を確認します。紙面を物差しで測るだけに頼らず、寸法ラベルと現地の実測値を基準に検討してください。
図面作成で押さえたい基準寸法と関連法令
寸法計画では、家具メーカーが示す動作の目安と、建物に適用される法的基準を分けて確認します。机が収まる配置でも、椅子を引いた状態や扉の開閉時に通路が残るかを検証しましょう。
通路幅と座席間隔の推奨寸法

オフィス内の通路幅や座席間の寸法には、快適な業務と安全な通行を支えるための推奨値があります。アール・エフ・ヤマカワのオフィス基準寸法に基づく主な寸法目安を以下に示します。
| 通路・座席の区分 | 推奨寸法 | 測定端および想定される利用状態 |
|---|---|---|
| 通常歩行(1人通行) | 600mm以上 | 什器や壁の間の有効通過幅 |
| 2人がすれ違える幅 | 1,200mm以上 | 2人が正面を向いてすれ違うことができる幅 |
| メイン通路 | 1,600mm以上 | デスク側端から壁など、2人がゆとりをもって並んで歩行できる幅 |
| デスク島と島の間 | 900mm以上 | 座席を挟まない島の側面同士の間隔 |
| 背中合わせ座席間 | 1,500mm以上 | 向かい合うデスク手前端同士の間隔。双方着席時に間を横向きに通過可能 |
| 背中合わせ(主動線) | 1,800mm以上 | 向かい合うデスク手前端同士の間隔。人が頻繁に行き交う主要動線 |
特に注意を要するのが、デスクが背中合わせになる座席間隔です。この1,500mmという数値は、椅子同士の隙間ではなく、向かい合うデスクの手前端から手前端までの距離を指しています。双方が着席している状態で中央を横向きに通り抜けられる寸法を想定しているため、椅子を引いて立ち上がる動作や、ワゴンの引き出しを開く動作が重なると有効幅はさらに狭まります。
図面上で寸法を検証する際は、静止した家具の輪郭線だけでなく、実際に人が座った状態や引き出しの開閉域を考慮して有効通路幅を確かめましょう。背中合わせの席の間を主要動線にする場合は、同メーカーの1,800mm以上という目安も参照します。避難経路は、建物の避難計画と適用法令を別に確認してください。
建築基準法と車いす動線の確認事項
建築基準法において、事務所ビルの通路は一律に対象外となるわけではありません。建築基準法施行令第117条・第119条では、第117条で規定の適用対象を定め、第119条で廊下の条件別に必要幅を定めています。
たとえば第117条には階数3以上や延べ面積1,000㎡超などの条件があり、第119条の表には、三室以下の専用廊下を除く、居室面積合計200㎡超の階(地階は100㎡超)の廊下について、両側居室なら1.6m以上、その他なら1.2m以上という規定があります。
間仕切り壁を新設して独立した廊下を区画する場合は、これら法定廊下幅の適用対象になるかを建物の規模や居室面積から設計者と確認する必要があります。
多様な社員が働く職場環境では、車いす利用者の移動空間も重要な確認事項です。国土交通省の移動等円滑化基準チェックリストでは、移動等円滑化経路における廊下等の幅を120cm以上とし、50m以内ごとに転回場所を設ける基準を示しています。
一般の事務所はバリアフリー法施行令第4条の特定建築物です。ただし、全国一律に全事務所へ同じ適合義務が生じるわけではありません。用途・工事内容と自治体の条例による対象追加や規模条件を確認します。
直線の通路幅だけでなく、曲がり角や突き当たりでの転回空間、扉の開閉動作ができるスペースが確保されているかを個別に検証しましょう。
気積基準と消防署への届出要件
従業員の健康と衛生管理の観点から、事務所衛生基準規則第2条では、労働者を常時就業させる室において、労働者1人あたり10㎥以上の気積を確保することが事業者に義務付けられています。
この気積を算出する際は、設備の占める容積や床面から4mを超える高さの空間を除外して計算しなければなりません。単に床面積に天井高を掛けた数値を人数で割るのではなく、大型什器などの除外容積を差し引いた有効気積で確認することが大切です。
間仕切り壁を設けて個室や会議室を新設する際は、消防用設備への影響にも細心の注意を払います。壁を新設すると、感知器やスプリンクラーの有効範囲、誘導灯の見え方や避難経路に影響し、設備の増設・移設が必要になる場合があります。
東京都火災予防条例第56条に基づく東京消防庁の防火対象物工事等計画届出のように、間取りの変更を伴う工事について着手7日前までの届出を求める地域制度も存在します。
欄間を開口すれば設備増設を省略できると自己判断せず、計画の初期段階で図面を持参して管轄消防署へ相談することが不可欠です。
自作とプロへの依頼を分ける判断基準
自作の範囲は、図面の用途と工事内容から決めます。小さなオフィスでも、設備変更や法令への適合判断が必要な場合は専門家と連携します。
自作が向いている社内検討のケース
自作の図面が最も効果を発揮するのは、社内での要望整理やレイアウト案の比較検討を行う構想段階です。
デスクの配置パターンを対向型にするかフリーアドレスにするか検討したり、部署ごとの大まかなエリア配分について社内の意見を集めたりする目的であれば、ExcelやPowerPointで作成したラフ図面で十分に役割を果たせます。既存の置き家具だけを並べ替える小規模な模様替えであれば、社内で作成した図面をもとに作業を進めることも可能です。
ただし、面積が小さい場合であっても、電源容量の変更や間仕切りの新設を伴うのであれば、後述する専門的な確認が必要になるため、自作だけで工事まで完結できると過信しないよう留意しましょう。
専門家への依頼が必要となる工事のケース
床や壁の解体・新設、天井まで届く間仕切りの設置、電源やLAN配線の移設・増設を伴う工事では、早い段階で設計施工会社や建築士などの専門家へ依頼する必要があります。
施工の現場ではミリ単位の納まりや現地の床・壁の凹凸、既存設備との干渉を確認する施工図面が求められます。また、前述した建築基準法や消防法への適合判断、各種申請手続きを正確に進めるためにも専門家の知見が欠かせません。
外部へ依頼する際は、複数の業者に見積もりを依頼し、現地調査、施工図の作成、法令確認、行政届出、施工監理のどこまでが業務範囲に含まれているかを照合しましょう。社内で作成したラフ図面を要望書として専門家に提示し、それをベースに詳細な施工図面を作成してもらう二段階の進め方を採用すると、要望の伝達が円滑になり、認識のずれを防ぐことができます。
オフィス図面の作成手順と判断基準まとめ
オフィス図面は、働き方の方針を決め、ゾーニング、家具・動線の配置、清書と共有の4段階で具体化します。現状の平面図と現地寸法を照合し、椅子や収納を使う際の空間も書き込みましょう。
ExcelやPowerPointは社内検討に使えます。間仕切りや設備の工事を伴う場合は、施工図・法令確認・届出の担当範囲を決めて専門家に依頼します。
まずは管理会社から現状図面を入手し、社員の困りごとと必要な席数、変更したい箇所を整理して、配置案の比較から始めましょう。




