オフィスの柱の間隔が狭く、デスクやテーブルがうまく収まらない。柱まわりのスペースを、もっと効率よく使いたい。そんな悩みはないでしょうか。
こちらのショールームでは、柱に沿ってベンチを配置し、周囲にテーブルを組み合わせています。この配置をご覧になった法人のお客様からは、「こういう風にすればいいのか」というお声をいただきました。
柱まわりを打ち合わせや休憩の場所として考えると、家具の選び方も変わります。大切なのは、通路や座るためのスペースを確保し、その場所に合う幅・奥行きの家具を選ぶこと。
既製品では収まりにくい柱間のテーブルやカウンターには、サイズオーダーという選択肢もあります。
この記事では、柱の位置や間隔に合わせて、通路・デスク・柱まわりの使い方を決める手順を紹介します。
レイアウトを決める前に図面で確定する3つのポイント
柱は後から動かせない構造体です。オフィスの配置計画は、柱の位置と寸法を正確に把握することから始まります。位置・断面寸法・スパン・有効面積・採用したいレイアウトの基本型が曖昧なまま進めると、どの案も成立せず図面の前で作業が止まります。
1. 柱が中央・窓際・通路上のどれかを見分ける
柱がフロアのどこに立っているかは、レイアウトの自由度を左右する分岐点です。平面図上で、壁面や窓面に接しているか、人が往来する動線上に立っているかを確認します。壁際でも主動線上でもない柱は、執務エリア内側の「フロア中央の柱」として分類します。
複数本あるオフィスでは位置のパターンが混在します。中でも中央の柱はデスクの島割りへの影響が大きいため、中央柱の位置を基準に優先して配置検討を進めます。
中央柱と窓際柱の位置の配置例。
2. 柱の断面寸法と柱と柱の間隔を実測する
柱まわりの設計では、柱自体の断面寸法と、柱同士の内法距離(スパン)の両方を実測します。断面は躯体のコンクリート面ではなく、巾木・配管カバー・消火器ボックスなどの突起を含めた仕上がり実寸で測ります。突起を見落とすと、家具設置時に数センチの干渉が起き、配置不能の手戻りになります。
柱間の有効開口(スパン)が分かれば、その間にデスク島が何台収まるか、通路として何ミリ確保できるかが明確になります。スパンが狭い区画は、通常の執務机ではなく奥行きの浅いカウンター席などに充てる判断材料になります。
3. 有効面積と在席人数、レイアウトの型を書き出す
面積計算は、契約上の貸室面積から柱や壁の突出を差し引いた実質的な有効面積を基準にします。有効面積を常時就業の在席人数で割ると、1人あたりに配分できる実質面積が見えます。島に使える面積と柱まわりの余白に使える面積のバランスを取る材料になります。
対向型やフリーアドレスなど、業務に合うレイアウトの基本型は、柱を細かく避ける前に決めておきます。基本型なしに柱を避け始めると、障害物に振り回された無秩序な配置になりやすいです。
柱の位置で変わる3つのレイアウトの制約
柱が空間に与える制約は、太さ以上に「どこに立っているか」で性質が変わります。位置ごとの特徴を理解し、手元のフロアに合う対策を取ります。
1. 柱がフロア中央にある場合の制約
中央の柱は視界を遮り、デスクの島割りを分断しやすい要因です。「6人島×3列」といった均一配置が崩れ、4人島と2人島に分かれるなど変形配置を余儀なくされることがあります。島が不規則になると、配線計画やグループごとの座席配分も複雑になります。
柱を境に大小に分かれた島の配置例。
中央柱を無視して窓際から島を並べ始めると、最後に中央で寸法が合わなくなり全面やり直しが起きます。中央柱を動かせない基準点として先に固定し、そこから左右に通路と島を割り振る順序が有効です。
2. 柱が窓際や壁際にある場合の制約
窓際や壁面に沿う柱は、執務エリアの有効面積を大きく削りにくいため、比較的扱いやすい位置です。壁面に埋め込まれている、または壁際に寄っている場合、中央を広く取れ、視界の抜けも維持しやすく、標準的なデスク島を組みやすいです。
柱と壁の間に生まれる奥行きの浅い凹みは、通常の執務机には狭くても、個別ブースや収納キャビネットの埋め込みには適します。
柱と壁の浅い凹みに納まる収納の配置例。
3. 柱が通路上にある場合の制約
動線上に柱がある場合、張り出しで通路の有効幅が狭まり、すれ違いや避難動線に支障が出るリスクがあります。建築基準法施行令第119条では、建物の用途や規模に応じて廊下に確保すべき最小有効幅が定められています。
共用廊下に面する居室床面積の合計が200㎡(地階は100㎡)を超える階では、両側に居室がある廊下で1.6m、その他の廊下で1.2m以上の有効幅が必要です。執務室内の通路そのものに一律の数値義務はありませんが、柱の張り出しによる狭窄部が避難の妨げにならないよう設計します。
柱を起点に通路とデスクを配置する4つの手順
柱があるフロアでは、通路と島を同時に検討すると寸法の辻褄が合いにくくなります。通路の確定から島割り、用途配分へと段階的に進めます。
1. 法令で幅が決まる通路かどうかを見分ける
検討中の通路が、法令で規定された共用廊下か、実務目安で設計する執務室内の通路かを区分します。建築基準法施行令第119条が数値を定めているのは共用の廊下です。執務室内のデスク間通路には、労働安全衛生規則第540条の安全な通路の保持義務が適用されます。メイン通路1600mm前後、デスク間900mm前後といった数値は、オフィス設計の実務目安です。
柱が通路に干渉する場合は、次の順で判定します。その通路が共用廊下か執務室内の通路かを確認し、共用廊下なら床面積200㎡超などの法令基準に該当するかを確かめ、執務室内なら日常のすれ違いに必要な幅(900〜1600mm前後)が確保できるかを検証します。
2. メイン通路を柱の直線上か壁際に通す
島を割る前に、人のメイン動線となる主通路の位置を決めます。柱が一定間隔で一直線に並ぶフロアでは、柱の列を通路の境界線や中心線に重ねると、途中で曲がらない直線動線を確保しやすくなります。
柱の列に沿う直線の通路の配置例。
柱を避けようとして通路をジグザグに蛇行させると死角が生まれ、すれ違い時の衝突やストレスの原因になります。柱の並びが不規則な場合は、通路を壁際へ寄せて執務エリアを四角くまとめる手法が有効です。
3. 柱と柱の間隔に合わせて島を割る
柱間のスパン寸法に合わせて、デスクの列数と1島あたりの席数を出します。スパンの内法から必要な通路幅を差し引き、残った寸法をデスク1台の幅で割って配置可能な台数を算出します。柱をまたいで長い島を無理に作ると柱まわりに無駄な隙間が残るため、柱をグループごとの境界として島を分割する方がきれいです。
柱間に収めるデスク島の配置例。
既製品の幅刻み(1000/1200/1400mm前後など)を置くと、スパンと合わず端数が余り、席を1台減らさざるを得ないことがあります。SITURAEMONのスマート造作家具なら、たとえばW1800タイプでは幅1010〜1800mm・奥行450〜800mmの範囲で1cm単位に指定できます。柱間の内法から通路幅を引いたサイズに合わせ、席数を減らさず空間を使い切れます。
4. 柱で区切られた区画に用途と人数を配る
柱で自然に分かれた各区画に、面積に見合った機能と人数を割り振ります。細長く残った区画には執務席を詰め込まず、少人数ミーティング、カタログ置き場、リフレッシュなどのサブ機能を配分します。
人数配分のあとは、事務所衛生基準規則第2条が定める「労働者1人あたり10立方メートル以上」の気積を、フロア全体で満たしているかを確認します。気積は小区画ごとではなく、常時就業させる室全体で満たせば法令適合です。
柱と柱の間・周囲・面の3つの活用法
柱まわりは、「柱と柱の間(スパン)」「柱の周囲と裏」「柱の面」に分けて考えると、執務スペースを圧迫しない使い道が見えます。
柱の面を使うカウンターの配置例。
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部位 |
適した用途 |
活用の判断基準 |
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柱と柱の間(スパン) |
カウンター席、立ちミーティング、集中ブース |
什器の奥行きと人が座る・立つ余地を引いて幅が残るか |
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柱の周囲と裏 |
ベンチ席、書庫、複合機、文具、給茶やゴミ箱 |
座る・立ち上がる余地と通路を確保できるか。共用什器は利用頻度と動線が合うか |
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柱の面 |
ホワイトボード、掲示スペース |
デスク島に向く面ではなく通路に向く面か |
1. 柱と柱の間のカウンター席・集中ブース
狭いスパンでも、奥行き450〜600mm程度のカウンターなら着席でき、窓際や壁際の集中席として成立します。ソロワーク席とスタンディングミーティングでは、必要な天板の高さや奥行きが異なります。SITURAEMONのスマート造作家具は天板と脚を分けて選べるため、柱間の幅に合わせつつ、用途に応じた高さ・奥行きを組み合わせられます。
2. 柱の周囲をベンチ席や共用什器の置き場にする
冒頭のショールームのように、柱に沿ってベンチを配置し、短い打ち合わせや休憩の場所にする方法もあります。座っている人の足元や立ち上がる動作が通路にはみ出さないよう、家具の寸法だけでなく、使うときに必要なスペースまで確かめます。
柱に沿わせたベンチと丸テーブルで、短い打ち合わせや休憩の場所をつくる配置例。
柱の死角になりやすい周囲や裏側は、共用設備の集約に向きます。複合機、文具キャビネット、ゴミ箱、給茶機などを寄せると、執務エリア中央をすっきり保てます。空いた中央は執務席や広めの通路に回せます。利用頻度が極端に高い備品を遠くへ置きすぎないよう、動線の長さには配慮します。
柱の裏の共用設備の配置例。
3. 柱の面のホワイトボード・掲示スペース
柱の壁面は、情報共有やアイデア出しの垂直面として使えます。自立式ホワイトボードや掲示板を床に置くと通路を圧迫しますが、柱面にホワイトボードシートや掲示パネルを施工すれば床面積を消費しません。掲示面はデスク島と向き合う側ではなく通路側を選び、執務中の背後に人が立ち止まって視線を感じるストレスを防ぎます。

通路側の柱面のホワイトボードの配置例。
柱まわりに物を置く前に確かめる2つの判断基準
柱まわりに什器や席を置くときは、寸法の収まりだけでなく、安全管理と作業環境の確認が必要です。
1. 避難口や階段への動線に掛かっていないか
柱まわりへの物品配置は、消防法および各自治体の火災予防条例に基づく安全確認が必要です。消防法第8条の2の4は、廊下・階段・避難口への避難障害となる物件の放置を禁止しています。東京都では東京都火災予防条例第54条でも避難施設への障害物設置が禁じられています。
柱付近に防火扉や防火シャッターがある場合、その開閉・降下ラインに家具や荷物を置くことは避けます。避難経路を塞がないクリアランスを確保します。
2. 柱の影で暗くなる範囲を照明で補えるか
柱の影による照度不足を放置すると、せっかく設けた作業席が暗くて使われない余白になります。窓光や天井照明が遮られ、手元に影が落ちないかを図面上で確認します。影になるエリアにカウンター席や作業台を置く場合は、タスクライトや配線ダクト式のスポットライトを追加し、必要な作業照度を確保します。
柱の見た目を整える2つのデザイン
柱の意匠は、「周囲の壁と同化させて目立たなくする」か、「空間のシンボルとして際立たせる」かの二択で考えると整理しやすいです。既存の内装や空間コンセプトに合わせて選びます。
1. 柱を目立たなくするデザイン
空間を広くすっきり見せたい場合や、他のインテリアを引き立てたい場合に向きます。壁面と同じテクスチャのクロスを貼ると輪郭がぼやけ、圧迫感が和らぎます。柱の出っ張りに合わせて造作壁や収納をフラットに施工し、壁面と一体化させる方法もあります。

壁面と揃える柱と収納の配置例。
2. 柱をアクセントにするデザイン
中央の柱をアイキャッチとして使うアプローチです。木目調シートやアクセントクロス、植栽ラッピングなどで、無機質な柱をインテリア要素に変えられます。黒板塗装やサイングラフィックを施し、ゾーニング案内や社内カルチャーを発信するシンボルにする使い方もあります。
木目仕上げの柱を室内のアクセントにするの配置例。
まとめ:柱を基準点にして割り、余白は浅い用途に充てる
柱は動かせませんが、位置と寸法を図面上で確定すれば、柱を基準点とした整ったレイアウトが組めます。通路とデスクの島を柱起点で割り、柱まわりの余白をカウンター席や収納に充てると、デッドスペースの少ない執務空間になります。
変形寸法や柱間スパンに合う什器を、仕様確定後に素早く手配できるかも成否を分けます。既製品の刻みで端数が余るときは、サイズオーダーが合理的です。
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