オフィスレイアウトをシミュレーションするには?おすすめ無料ツール6選と使い分け方法を解説

オフィスレイアウトをシミュレーションするには?おすすめ無料ツール6選と使い分け方法を解説

オフィス移転や増員、座席配置の見直しに際し、自社でレイアウトをシミュレーションしたいものの、ツールの選定や寸法の合わせ方に迷う担当者は少なくありません。

正確なシミュレーションの基本は、壁や柱の実測寸法と家具サイズを同一縮尺にそろえ、利用環境や目的に合ったツールで動作空間を含めて検証することです。

縮尺が曖昧なまま作図すると、図面上は収まっても通路が塞がれたり、社内共有や施工業者への相談で手戻りが生じたりします。

本記事では、ツールの選定基準、無料ツール6選の特徴、Excel・PowerPointでの作図手順、必須の寸法基準と調達手順を解説します。

シミュレーションツールを選ぶ3つの基準

自社に最適なシミュレーションツールを絞り込むには、機能の多さだけで判断せず、作業環境や検証目的に合わせた3つの基準で確認します。

1. 利用環境や権限に合っているか

自社のセキュリティ規定や作業環境に適した提供形態を選びます。社内PCにインストール権限がない場合は、ブラウザー上で動くWebツールが適しています。一方、通信が不安定な現場で作業する場合や、社外クラウドへのデータ保存が制限されている場合は、ローカル環境で保存・再編集ができるデスクトップ版ソフトが候補になります。また、Windows専用でmacOS非対応のツールもあるため、作業端末のOSに対応しているかも事前に確認が必要です。

2. 家具の実寸や形状を再現できるか

パーツの収録数以上に重要なのが、検討している家具の実寸法(幅・奥行、3Dなら高さ)を数値入力で反映できるかどうかです。あらかじめ用意された素材のサイズが固定されていると、実際の家具と数十センチのずれが生じ、通路幅や周囲の空き寸法の検証精度が落ちてしまいます。既存家具を転用する場合は現物を採寸し、新規購入する場合はメーカーの寸法図を確認したうえで、その数値を直接反映できるか確かめます。シンプルな長方形パーツであっても、部屋の外枠と家具の縮尺比率が正しく維持されていれば、席数やレイアウトのシミュレーションには十分機能します。

3. 3D表示やデータ共有が必要か

検証したい項目と社内共有の方法に応じて、必要な表示形式と出力機能を見極めます。席数や座席の向き、執務エリアの動線計画を比較・検証する段階であれば、全体を俯瞰しやすく操作も軽い2D平面図で十分です。一方、ハイパーティションや背の高いキャビネットによる視線の遮り、窓からの採光や空間の圧迫感を社内の承認者に説明したい場合は、高さを直感的に把握できる3D表示が役立ちます。また、共有方法についても、URLによるオンライン共有が必要か、PDFや画像として書き出してメール等で配布できれば十分かを整理しておきます。

オフィスレイアウトに使える無料ツール6選

オフィスレイアウトに利用できる主な無料ツール6選の機能と利用条件を比較します。

ツール名 提供形態 2D/3D 主な出力形式 無料版の利用条件・制限
せっけい倶楽部 Windows専用ソフト 間取りから3D描画 独自保存、印刷 無料DL可能(文字・寸法線の入力機能なし、斜め壁制限あり)
Floorplanner ブラウザー型 2D・3D両対応 SD画像(透かしあり) Basicプランで最大5プロジェクト、3階・合計3デザインまで
draw.io ブラウザー・PC両対応 2D作図 PNG、SVG、PDFなど 完全無料、アカウント不要(Floorplanライブラリ搭載)
Sweet Home 3D PC・ブラウザー両対応 2D・3D同時表示 PDF、画像、3D形式など デスクトップ無料版はGPL(Web版は要登録、追加素材は個別条件)
EdrawMax PC・ブラウザー両対応 2D作図 画像、PDF(透かしあり) 無料版あり(Online無料枠はクラウド編集3件、取り込み各5回)
Cacoo ブラウザー型 2D作図 PNG Updated Freeは6シート、履歴なし、ビデオ通話最大3人まで

1. せっけい倶楽部

せっけい倶楽部は、株式会社ハウテックが提供するWindows向けの無料住宅間取り作成ソフトです。氏名やメールアドレスを入力して無料ダウンロードでき、配置した間取りから3次元描画で立体イメージを再現できます。部屋や家具を並べ、空間全体の高さや視線の通り方を把握する用途に向いています。

ただし、公式Q&Aに記載のとおり、斜めや円弧の壁入力に制限があり、文字や寸法線の入力機能は備わっていません。家具の任意寸法変更や歩行視点のウォークスルー機能も確認できないため、通路幅や離隔寸法を厳密に管理したい場合は、出力画像へ別ツールで注記を加える運用が必要です。事前に配置したい家具形状が再現できるか試してから作図に入ると確実です。

2. Floorplanner

Floorplannerは、Webブラウザー上で2D平面図とリアルタイム3D表示を切り替えて操作できるクラウドツールです。オブジェクトをダブルクリックすると設定メニューから寸法を変更できるため、導入候補の家具サイズに合わせた配置検証が可能です。

無料のBasicアカウントでは、最大5件のプロジェクトを保持でき、各プロジェクトは3フロア・合計3デザインまでに制限されます。無料での画像出力はSD画質(960×540px)かつ透かし入りですが、社内でのレイアウト検討や配置比較には十分活用できます。透かしのない高解像度出力や3Dツアー機能は有料対象です。編集権限のオンライン共有仕様はプランにより異なるため、社内共有は書き出した画像ファイルを受け渡す運用から始めると確実です。

3. draw.io

draw.ioは、登録不要でブラウザーから即座に利用できる完全無料の作図ツールです。Windows、macOS、Linux対応のオフラインデスクトップ版も提供されており、社内セキュリティ基準に合わせて運用できます。

作図画面でFloorplansライブラリーを有効化すると、机やドア、窓などの平面図パーツを配置できます。「配置」パネルから図形の幅・高さを数値指定できるため、部屋の実寸と家具の縮尺比率を正確に保ちながら2Dレイアウト図を作成できます。作成データはPNG、SVG、PDF形式などへ出力可能で、図面枠を切り抜いて書き出す機能も備えています。3D表示機能はありませんが、縮尺を正確に管理した2D図面を手早く作成・共有したい用途に適しています。

4. Sweet Home 3D

Sweet Home 3Dは、オープンソース(GNU General Public License)で公開されている間取り作成ソフトです。公式サイトから無料配布されているデスクトップ版(Windows、macOS、Linux対応)を利用でき、個人・商用を問わず無償で扱えます。なお、各アプリストアで販売されている有料版とは配布形態が異なります。

最大の特徴は、2D平面図と3Dビューを同一画面で同時に確認できる点です。平面上で家具を動かすと立体画面へ即座に反映され、家具の幅・奥行・高さや角度も数値指定できます。なお、ブラウザーで動くWeb版のデータ保存には無料登録が必要です。有志が配布する追加3DモデルにはFree Art LicenseやCC-BYなど個別のライセンスが適用されるため、商用共有の際は各素材の利用条件を確認しましょう。

5. EdrawMax

EdrawMaxは、豊富な図形テンプレートを備えた作図ソフトで、PC(Windows、macOS、Linux)とオンライン版が提供されています。Visio(VSD/VSDX)やSVGファイルの直接取り込み・編集に対応し、Windows版更新履歴では壁の基準寸法設定機能も実装されています。

日本語サポートでは期間制限のない機能制限付き無料版が案内されていますが、EdrawMax Onlineの無料枠ではクラウド上の編集可能ファイルが3件まで、CAD・Visioの取り込みが各5回までに制限され、出力データには透かしが入ります。2D平面図の作図・共有を中心に検討し、既存図面を取り込んで再編集できるか実ファイルで試してから導入を判断しましょう。

6. Cacoo

Cacooは、株式会社ヌーラボが提供するブラウザー型の作図ツールです。複数人が同一キャンバスに同時アクセスしてリアルタイムに編集できるため、離れた拠点やテレワーク環境で意見を出し合いながらレイアウトを調整する用途に向いています。

公式ヘルプのUpdated Freeプランでは、最大6シートまでの作成、PNG形式での書き出し、最大3人までのビデオ通話が無料で利用可能です。ただし、無料プランではバージョン履歴管理が使えず、PDF出力にも対応していません。また、全機能を試せる30日間の無料試用と継続利用の無料プランは条件が異なります。登録時のプラン画面で最新の機能制限を確かめ、実寸の精密な寸法管理というよりはチーム内の配置合意を形成するコミュニケーション用ツールとして活用するのが有効です。

ExcelやPowerPointで作成する簡易レイアウト図

専用ツールを新たに導入できない環境でも、手元のExcelやPowerPointを活用して縮尺をそろえた簡易レイアウト図を作成できます。

1. Excelで方眼紙シートを作成して配置する

1. Excelで方眼紙シートを作成して配置するの図解

Excelで配置図を作成する場合、通常表示のままでは正方形セルを作りにくいため、表示モードを切り替えて物理単位でサイズを統一します。通常の標準表示では行高がポイント、列幅が文字数ベースで管理されており、同じ数値を入力しても縦横比が一致しません。

Windowsデスクトップ版のExcelでは、「表示」タブから「ページレイアウト」表示に切り替えます。さらに「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」の「表示」で、ルーラーの単位をセンチメートルにします。全セルを選び、列幅と行高を双方「1cm」などに設定すれば、均等な方眼紙を作成できます。

縮尺を1/50(1cm=実寸50cm)と定義した場合、幅10mの部屋は20cm(20セル)、幅1,200mm・奥行700mmのデスクは幅2.4cm・奥行1.4cmとなります。家具はセルの塗りつぶしではなく四角形図形で作成し、書式設定で幅と高さを数値指定して配置すると端数のずれを防げます。印刷時の拡大縮小設定で縮小率が変わると縮尺が狂うため、余白に縮尺と実寸注記を記載し、印刷後に定規で寸法を確認します。

2. PowerPointで図形の寸法を指定して配置する

PowerPointを使う場合は、スライド全体の縮尺をあらかじめ決定し、四角形図形の幅と高さを数値入力して家具を配置します。

まず「デザイン」タブの「スライドのサイズ」から「ユーザー設定のスライドのサイズ」を選び、検討する部屋が収まるスライド寸法を設定します。例えば縮尺を1/50とする場合、実寸10mの壁面はスライド上で20cmに相当します。

次に四角形図形を挿入し、「図形の書式」タブの「サイズ」欄で幅と高さをcm単位で指定します。平面図上では図形の「高さ」が家具の「奥行」に対応する点に留意してください。実寸幅1,200mm・奥行700mmのデスクであれば、縮尺1/50で幅2.4cm、高さ1.4cmと入力します。図形を複製した後は、「図形の書式」の整列機能や「表示」タブの「グリッドに合わせる」を活用して等間隔に並べます。配置後は測定用図形を置いて通路幅の実寸法を再確認します。

シミュレーションで見落としがちな動線と面積の基準

図面上で家具が収まっていても、法令上の換気要件や通路幅、日常の動作空間を満たしていなければ安全で快適なオフィスにはなりません。シミュレーション段階で確認すべき基準を整理します。

一人当たりの面積と気積の基準

オフィスの面積計画において、まず遵守すべき法的最低基準が「気積(室の容積)」の規定です。事務所衛生基準規則 第2条では、労働者を常時就業させる室について、設備の占める容積および床面から4メートルを超える空間を除き、労働者1人あたり10立方メートル以上の気積を確保することが事業者に義務付けられています。この規定は衛生環境を保つための容積基準であり、天井高から一律に床面積へと換算できるものではありません。会社全体の賃借面積や出社率平均で判断せず、対象の室ごとに就業人数と設備を除いた有効容積を算出する必要があります。

一方、執務空間の目安としては、ザイマックス総研の2025年調査(東京23区の管理運営オフィスビルに入居する一般事業所テナントを対象、在籍527件・出社515件の有効データ)が参考になります。同調査によると、調査対象テナントの賃借面積を在籍人数で割った中央値は3.8坪、出社人数で割った中央値は4.7坪です。

ただし、これらは会議室や受付、廊下などを含む賃借面積全体を人数で割った数値であり、個人の執務席単体の面積ではありません。自社の計画では、出社が集中するピーク時の同時出社人数から必要な執務席数を割り出し、共用設備と合わせて必要な全体面積を積算することが重要です。

通路幅と家具周囲の動作空間

通路幅と家具周囲の動作空間の図解

避難経路の安全性と日常の使いやすさを両立するためには、建築基準法上の廊下幅基準と、家具周囲の動作空間を区別して点検します。建築基準法施行令 第119条では、第117条に該当する用途・規模(階数3以上や延べ面積1,000㎡超等)の建物で、居室床面積の合計が200㎡を超える階(地階は100㎡超)の廊下について、両側に居室がある場合は1.6m以上、その他の廊下は1.2m以上の幅が求められます(第129条等の避難安全検証による適用除外を除く)。

ただし、この規定は共用廊下等の主要動線を対象としており、執務室内のデスク間の隙間にそのまま一律適用されるわけではありません。机と机の間の通路幅は、机の端間距離だけでなく、着座時の椅子背面からの空きや引き出し・収納扉の開閉範囲を含めた実質的な有効幅で検証します。

通路・配置の箇所 基準・確認内容 シミュレーション時の点検ポイント
法定の廊下(居室面積合計200㎡超等) 両側居室1.6m以上、その他1.2m以上 令第117条・119条の該当性と避難安全検証の有無を設計者に確認
デスク背中合わせ配置 椅子背面間の通行幅 着座時および椅子を引いた状態でも人が通り抜けられる有効寸法を確保
デスクと壁・収納の間 立ち上がり・開閉スペース 椅子を後ろに引く動作幅や、キャビネット扉・引き出しの最大開放域を検証
出入口への主動線 避難経路の連続性 執務エリアから非常口・出入口まで幅が極端に狭まるボトルネックを排除

図面上に家具の外形だけでなく、着座や扉開閉の動作範囲を補助線として描き込んでおくと、完成後の通行トラブルを未然に防げます。

レイアウト確定から家具調達までの進め方

シミュレーションで配置案が固まった後は、施工業者への引き継ぎと家具の調達へ進みます。手戻りを防ぐための3つの手順を確認します。

1. 施工業者へ引き継ぐ情報を整理する

自作のシミュレーション図は、自社の要望や配置イメージを伝えるための基本構想資料として位置づけます。施工や什器設置にあたっては、詳細な寸法実測、下地補強、電気・通信配線、消防設備の整合性を反映した正式な図面が必要です。

施工業者や設計者に引き渡す際は、実測済みの寸法と未測定の箇所を明確に区別して伝えます。流用する既存家具と新規導入家具を色分けし、コンセント位置や床下配線の取り出し希望箇所を注記しておくことで、現地調査や見積もり確認のやり取りが円滑になります。

2. 候補家具の見積もりと発注順序を確認する

家具調達はレイアウト確定を待たずに、配置検討の段階から並行して見積もりや在庫状況の照会を進めます。希望する製品の納期が移転・改装日程に間に合わなければ、配置計画の再考が必要になるためです。

候補家具ごとに、図面作成費用の有無を含む見積内訳、製作日数、出荷予定日、配送・搬入設置日数を販売店に確認します。社内承認が下りた段階で品番、寸法、数量、仕様を確定して正式発注します。出荷日と実際の現場搬入・設置日は異なるため、オフィスの稼働開始日までに十分な余裕を持った日程を組むことが重要です。

3. サイズオーダー家具を活用して調達する

柱の間や壁際など、既製品では無駄な隙間が生じるスペースには、サイズオーダーに対応した家具を活用すると空間効率を高められます。

SITURAEMONのスマート造作テーブルは、対象商品で1cm単位のサイズオーダーに対応し、Web上で選択した仕様の価格を確認できます。天板や脚の単品調達も可能です。商品ごとの指定範囲と法人会員の適用価格を確認し、最短5営業日後出荷は納品日を保証するものではないため、配送・搬入日数も見込んで手配しましょう。

オフィスレイアウトシミュレーションまとめ

オフィスレイアウトのシミュレーションを成功させるには、利用環境や目的に合ったツールを選び、壁や柱の実測値と家具寸法を同一縮尺で検証することが大切です。

作図時は、事務所衛生基準規則に基づく気積や建築基準法が定める廊下幅、着座・扉開閉の動作空間を漏れなく点検します。自作の配置図は要望伝達用と位置づけ、配線や設備に関わる詳細設計は施工業者と綿密にすり合わせることが手戻り防止の鍵となります。

まずはオフィスの間口や柱の位置を正確に採寸し、残す家具の寸法とともに手元のツールや方眼紙へ書き出す作業から着手してみましょう。